HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 52333 Content-Type: text/html ETag: "a33dc-18b9-4ccd1126813ce" Expires: Wed, 24 Oct 2012 23:21:09 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 24 Oct 2012 23:21:09 GMT Connection: close 放射能拡散予測 原発で最悪の事故防ぐ一助に : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




現在位置は
です

本文です

放射能拡散予測 原発で最悪の事故防ぐ一助に(10月25日付・読売社説)

 全国16の原子力発電所で重大事故が起きた場合に、放射性物質がどう拡散するか。政府の原子力規制委員会が、その予測地図を公表した。

 政府はこれまで、住民の不安を(あお)ることを恐れ、こうした予測を実施していなかった。だが、防災対策で最悪事態を想定するのは必要なことだろう。

 原発の周辺自治体は、来年3月までに防災計画を策定することになっている。関係自治体は、予測結果を参考に、作業を着実に進めねばならない。

 規制委は、今回の予測が現実の地形を考慮しておらず、複雑な風向変化を反映していないため、あくまで目安と位置づけている。

 予測結果が無用な不安を広げぬよう、規制委は関係自治体に丁寧に説明し、防災計画作りを後押ししてもらいたい。

 気がかりなのは、東京電力柏崎刈羽原発と関西電力大飯原発など4原発に関する予測結果だ。

 規制委は、策定作業中の新防災指針案で、事前の対策を求める重点区域を、原発から半径30キロ圏とする方針を示している。

 だが、事故後1週間の積算被曝(ひばく)線量が避難の国際基準とされる計100ミリ・シーベルトに達する地域を見ると、4原発では30キロ圏の外側にも広がっている。柏崎刈羽では、約40キロ離れた新潟県魚沼市にまで影響が及ぶ、と予測された。

 田中俊一規制委員長は、「重点区域は30キロ圏で足りる。それ以上は事故時に(放射線量を)実測して対応すればいい」との見解を示している。混乱を避ける意味で、妥当な考え方と言えよう。

 とはいえ、防災対策は自治体が主体的に決めるものだ。県などが区域を広げれば、県境をまたぐ避難や物資輸送、避難地確保も問題となる。政府も関係自治体間の調整を支援する必要があろう。

 拡散の予測技術自体についても、規制委は今後、さらに性能の向上を目指すべきだ。

 高度な予測が可能になれば、防災対策の一層の充実につながるうえ、事故時の避難対策にも役立つのではないか。

 もとより、こうした事故を起こさないことが大切だ。

 すでに各地の原発で、津波対策や非常用電源の強化など緊急安全対策が施されており、東電福島第一原発事故の発生前に比べ、当面の安全性は向上している。活断層の確認なども始まっている。

 規制委は、再稼働の判断材料とするためにも、検討中の新たな安全基準を早急に整備すべきだ。

2012年10月25日02時03分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

 ピックアップ

トップ
現在位置は
です