HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 24 Oct 2012 23:21:08 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:景況悪化 大胆な金融緩和に動け:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

景況悪化 大胆な金融緩和に動け

 日銀の地域経済報告で景況悪化が鮮明になってきた。政府の財政出動は期待できない。ここは日銀が大胆な金融緩和に動くべきだ。物価安定のインフレ目標も2%以上に引き上げる必要がある。

 年に四回公表される報告は表紙のピンク色から「さくらリポート」と呼ばれているが、今回は明るい材料がなかった。復興需要がある東北を除き全国八地域で景況感が悪化した。リーマン・ショック後の二〇〇九年一月以来、三年九カ月ぶりだ。

 欧州債務危機で世界経済全体が停滞する中、自動車や電子部品などの低迷や日中関係悪化に伴う中国人観光客の激減などが響いた。先行きをみても、中国で日本製自動車販売が半減するなど、じわじわと悪影響が続く懸念がある。

 政府は九月の月例経済報告で景気の現状を「足踏み」と表現し、踊り場入りを認めた。十月には「このところ弱めの動き」と一段と厳しい認識を強めている。

 こうした中、当面の景気下支えはマクロ政策に頼るしかないが、財政は与野党対立で本年度の赤字国債を発行する特例法案の成立見通しが立っていない。野田佳彦政権は予備費を使った景気対策を検討しているが、本予算の執行を一部先送りしておきながら、いかにも小手先だ。

 果断に動くべきなのは日銀である。日銀は一〇年十月に資産買い入れ基金を創設して以来、段階的に規模を拡充して現在八十兆円に増やした。ところが実際に金融が緩和されたかといえば、基金枠の拡大ほど緩和していない。

 緩和を測る指標のマネタリーベース(日銀券と貨幣、日銀当座預金の合計)でみると、基金創設当時と比べ二十五兆円増えただけだ。日銀は「買い入れ基金を増やして緩和した」と宣伝しているが、実はほかで絞っているから、全体として資金供給が増えないのだ。

 政府内からは外債購入や基金増額を求める声が上がっている。政策を小出しにする日銀へのいらだちが背景にある。ただ本来、どう緩和するか、政策手段を考えるのは日銀の仕事である。

 政府は政策手段に口を出すのではなく、肝心の政策目標すなわちインフレ目標の引き上げこそ日銀に働きかけていくべきだ。それは日銀の独立性を侵す話ではない。二月に目標を導入した直後は株価が上昇し為替も円安に動いた。政策効果は明白である。政府と日銀が高い政策目標をしっかり共有する。そこがもっとも肝心だ。

 

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