HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 23 Oct 2012 22:21:48 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:イラン核開発 国民の犠牲いつまで:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

イラン核開発 国民の犠牲いつまで

 核開発を続けるイランでは欧米諸国による制裁の影響で経済事情が悪化し、政府への抗議デモが起きた。国民の我慢も限界に近づいている。核開発を中止し、欧米との妥協を図るべきではないか。

 デモは今月三日、首都テヘランで起きた。市場の商人や両替商らを中心に数千人が集まり、経済危機を招いたとアハマディネジャド大統領を非難した。警察が催涙弾で鎮圧したという。

 欧州連合(EU)はイラン産原油の全面禁輸を続け、今月には天然ガス禁輸など追加制裁を決めた。米国はイラン中央銀行と取引する金融機関への制裁措置をとっている。日本は原油輸入を大幅に削減し、米欧に協力している。

 これによりイラン産原油の輸出は前年のほぼ半分にまで落ち込み外貨収入が激減して、通貨リアルの対ドル相場はこの一年で60%以上下落した。輸入品はもちろん、消費者物価の上昇率は前年比20%前後と高いままだ。産油国なのに石油精製設備が不足しているため、一部輸入に頼るガソリンも高騰している。政府が核開発を続けることで、国民の生活が犠牲になっている。

 イラン政府は核兵器の製造が目的ではなく発電や医療用など平和利用だと主張し、国民からも核開発に対しては表だった反対は聞かれない。それでも物価高に対する抗議デモが起きたのは、政府の対欧米外交に対する強い不満の表れとみてよい。 

 イランと、国連安全保障理事会の常任理事国にドイツを加えた六カ国による協議は進展がないままだ。六カ国側は核兵器製造につながる濃縮度20%のウラン生産の停止と、濃縮活動をする中部フォルドゥの地下核施設の閉鎖を求めている。

 イラン政府は不透明なウラン濃縮を中止するとともに、起爆実験をした疑いがあるパルチンの軍事施設について、国際原子力機関(IAEA)の調査に協力すべきだ。さもないと、国民の生活は一層苦しくなる。

 核施設攻撃も辞さないと強硬なイスラエルのネタニヤフ政権は待ちの姿勢に転じたようで、イランが制裁でどこまで軟化するかを見極めようとしている。外交解決の余地はまだある。

 日本は原油輸入の約八割をペルシャ湾岸諸国に頼る。核不拡散で国際社会と連携するとともに、原油、天然ガスの輸入先を多様化して危機に備える努力が必要だ。

 

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