HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 52198 Content-Type: text/html ETag: "ffe6f-183d-4cca845dc1bfc" Expires: Mon, 22 Oct 2012 21:22:35 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Mon, 22 Oct 2012 21:22:35 GMT Connection: close 冬の電力需給 北海道の停電は命にかかわる : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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冬の電力需給 北海道の停電は命にかかわる(10月23日付・読売社説)

 厳寒の北海道で大規模な停電が起きれば、住民の命にかかわる。

 政府と北海道電力は地域とも連携して需給対策に万全を期し、電力危機を回避しなければならない。

 電力各社は今冬、供給力が需要を上回ると予想している。火力発電などの供給増強に努めたほか、節電が定着したからだろう。

 だが、電力が足りているから原子力発電所を止めたままでも構わない、と考えるのは早計だ。

 実態は、老朽化した火力発電所も総動員して、電力不足を補っているのである。

 北海道電力では、泊原発の停止を受け、酷使した火力発電所のトラブルが増えている。60万キロ・ワット前後の出力喪失も、たびたび発生している。

 ところが、冬のピーク需要に対する供給力の余裕は、約30万キロ・ワットしか見込めていない。まさに綱渡りの需給といえよう。

 冬は配管凍結などのリスクも高まる。実際に今年2月、九州電力の火力発電所が配管の凍結で止まり、他電力からの緊急融通で切り抜けたケースがあった。

 北海道は本州との間の送電容量が小さく、九州ほど大量の融通を受けられない。トラブルが重なれば停電の危機に直面する。

 停電時はエアコンだけでなく灯油やガスのファンヒーターも止まる。北海道は最低気温が氷点下30度を下回る地域がある。暖房の停止による室温の急降下で、凍死する危険は否定できまい。

 工場生産に加え、観光業や酪農も、電力の安定供給なしには成り立たない。道路の融雪や水道管の凍結防止が機能せず、交通マヒや断水を起こすという、北国に特有の課題もある。

 深刻な事態を回避するため、節電の数値目標を定め、着実に達成することが求められる。

 泊原発を再稼働すれば電力不足を解消できるのに、原子力規制委員会の設立が遅れ、再稼働の判断に必要な安全基準の策定さえ、今冬には間に合わなくなった。

 全国で膨大な火力発電燃料を消費している弊害も大きい。

 液化天然ガス(LNG)など燃料の輸入が急増し、今年度上期の貿易赤字は初めて3兆円を突破した。安全を確認できた原発を順次、再稼働していかないと、国富の流出に歯止めがかからない。

 ところが、原発・エネルギー政策で迷走する野田内閣は、肝心な再稼働の判断を避ける姿勢を示している。その「罪深さ」をどこまで意識しているのだろうか。

2012年10月23日01時21分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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