HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 19 Oct 2012 22:21:07 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:シェールオイル 海外視野に技術を磨け:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

シェールオイル 海外視野に技術を磨け

 秋田県の油ガス田で、地中の頁岩(けつがん)層に眠るシェールオイルの試掘が続いている。国内では初めてだ。埋蔵量が少なく商業生産の成否は不透明だが、採掘技術を蓄積すれば海外で生かす道も開ける。

 「新たな資源開発の可能性が広がった」。試掘に成功した鮎川油ガス田を抱える秋田県由利本荘市では、早くも新産業育成に期待を寄せ始めた。シェールオイルは米国で本格生産が始まっている。天然ガスを含む頁岩層も多くの国で見つかり、「シェール革命」と言われているが、手放しで喜ぶわけにはいかない。

 成功とはいっても埋蔵量は約五百万バレル。日本の一日当たりの原油消費量、四百五十万バレルを少し上回る規模にすぎず、エネルギー安定確保とは程遠い。日本のエネルギー自給率はわずか4%。試掘の成功は、むしろ海外の油ガス田開発を手元に引き寄せる好機が到来したと受けとめるべきではないか。

 通常、原油やガスは自噴し、圧力が下がった油層ではポンプでくみ上げる。これを在来型資源と呼び、それ以外の新しい採取方法が必要な資源を非在来型という。

 シェールオイル、ガスは非在来型であり、頁岩層を高圧水などで破砕して採取する技術が欠かせない。その技術は十年以上前に米国で確立されたものの、米国以外での開発は緒についたばかりだ。

 現在、世界のシェールオイルの埋蔵量は調査段階だが、ガスは全世界の消費量の百年以上に相当する埋蔵が確認されている。日本も採取技術を蓄積すれば資源国との共同開発に展望が開けるだろう。

 資源大国・ロシアのプーチン大統領は「アジアとの経済関係を相互利益にかなうものにしていく」と東方進出に意欲を示した。ロシアが抱える苦悩が垣間見える。

 ロシアの貿易拡大の牽引(けんいん)役は原油・ガスの輸出だ。国の歳入の五割を占めるが、頼みの欧州向けが金融危機を境に減り続け、アジア重視への転換に迫られている。

 加えて、シェールオイルの技術開発も大きく出遅れており、西シベリアの開発では米エクソンモービルなどに頼らざるを得なくなっている。

 日本にもロシア初のガス液化施設建設に協力した実績がある。激動する世界経済に揺さぶられるプーチン氏のシグナルを読み解き、海外の油ガス田の権益を獲得しつつ安定確保の土台を築きたい。

 資源に乏しい日本は採取技術を磨き、攻めの経済外交で資源国との相互利益を目指すべきだ。

 

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