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天声人語

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2012年10月20日(土)付

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 フクロウは知(ち)のシンボルとされる。大樹の洞(うろ)で黙考する様(さま)は哲学者風で、丸顔と渋い体色に字を当てれば福老(ふくろう)とでもなろうか。ただし、動物としての本性は抜け目のないハンターらしい▼自在に回る首、幅のある口、鋭い爪。体の造りすべてが、夜の狩りを支えている。翼は広く、速くはないが小回りが利き、音もなく飛べる。立体視に優れた大きな目、集音に秀でたパラボラ状の顔面で、獲物との距離を瞬時につかむそうだ▼白眉(はくび)は、羽を広げると2メートルに近いシマフクロウだろう。開発に追われ、国内では北海道東部に百数十羽のみ。アイヌ名コタンコルカムイ(村の守り神)は、守られる身となった▼11月に始まるこの鳥の生態調査に、富士通の新技術がひと役買う。3時間の録音記録から、特定の生き物の声を数分で探し出せるソフトだ。50個のICレコーダーを使い、物静かな「神」が鳴いた時刻と位置を調べるという▼日本野鳥の会によると、以前は夜寒に耐えて調査員が聞き耳を立てていた。去年は録音方式を採り入れたが、解析に手間取った。新ソフトで解析時間は10分の1に、調査地点は3倍になり、保全すべき生息域を詳しく割り出せる見込みだ▼夜行性のフクロウは、目より耳で親しまれてきた。声は一般に「ゴロスケホーホー」「ボロ着て奉公」などと表す。北の大地に宿る神は、野太く「ボー」。その重低音は、寝静まる谷を伝わり、数キロ先に届くことがある。人のおごりをいさめる、森厳の響きを守りたい。

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