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2012年10月20日(土)付

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党首会談決裂―首相の責任感が見えぬ

野田首相は、政権の延命がそんなに大事なのか。さらなる離党者が出ることが、それほど怖いのか。社会保障と税の一体改革をめぐって、首相が「近いうちに国民に信を問う」と自民、公[記事全文]

誤認逮捕―捜査が甘すぎる

なりすましウイルスによる犯行予告事件で、警察庁が男性4人の誤認逮捕を認めた。「警察や検察をはめる」ために、他人のパソコンを乗っ取って遠隔操作する。これまでになかったタイ[記事全文]

党首会談決裂―首相の責任感が見えぬ

 野田首相は、政権の延命がそんなに大事なのか。さらなる離党者が出ることが、それほど怖いのか。

 社会保障と税の一体改革をめぐって、首相が「近いうちに国民に信を問う」と自民、公明両党に約束してから2カ月あまり。ようやく、民自公3党の党首会談が実現した。

 だが、会談の内容は寒々しいものだった。

 首相は、赤字国債発行法案や衆院の「一票の格差」是正などへの協力を要請した。一方で、自公両党が求める「近いうち」の衆院解散の時期については具体的な答えを避けた。

 要求するばかりで、相手の求めにはゼロ回答では、話し合いは成り立たない。会談が物別れに終わったのは無理もない。

 首相には、政治を前に進める責任感がないのか。そんな疑いを禁じ得ない。

 一体改革関連法が成立した後の、野田政権の惨状は目を覆うばかりだ。

 たとえば、衆院に続き参院でも最高裁に違憲状態と断じられた、一票の格差の問題だ。国会の正統性そのものが否定されたに等しい異常事態なのに、政権の危機感はあまりに乏しい。

 とりあえず衆院の違憲状態を解消するための「0増5減」法案を自民党が提案しているのに、あれこれ理由をつけて審議を拒んできたのは、ほかならぬ民主党ではないか。

 赤字国債発行法案が先の国会で廃案になり、5兆円の予算の執行が抑制されている。これもまた非常事態である。

 入閣したばかりの田中慶秋法相が早くも辞任する見通しだ。外国人企業からの献金や暴力団関係者との交際も問題だが、理由にもならない理由で国会審議を拒否するとは前代未聞、驚くばかりの無責任さだ。

 こんな閣僚をなぜ起用したのか。能力や資質より離党者防止を優先した「内向き」人事のツケが早くも回った形だ。首相の責任は極めて大きい。

 いまの野田政権は、政権の体をなしていない。そう批判されても仕方あるまい。

 もはや民主党だけで政治を動かす力があるとは思えない。ならば、首相が最優先すべきことは明らかである。

 29日に召集予定の臨時国会に向けて、3党の関係を修復する。そして、自公両党をはじめ野党の協力を得て、赤字国債発行法案や一票の格差是正など懸案の処理を急ぐ。

 そのために必要なら、自公両党が求める早期の解散も逃げてはならない。

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誤認逮捕―捜査が甘すぎる

 なりすましウイルスによる犯行予告事件で、警察庁が男性4人の誤認逮捕を認めた。

 「警察や検察をはめる」ために、他人のパソコンを乗っ取って遠隔操作する。これまでになかったタイプの犯罪だ。

 警察の捜査技術や人員が、日々進歩するインターネット技術に追いつかない。一見すると問題はそこにあるように見える。

 そうした側面もあるのは確かだろう。

 しかし、捜査のいきさつが明らかになるにつれ、別の疑念がわいてくる。そもそも捜査の基本を尽くしていなかったのではないかということだ。

 東京の幼稚園などを襲うという予告メールが送られた事件では、警視庁は「発信元」のパソコンをウイルスチェックしないまま、持ち主の逮捕に踏み切っていた。

 送信された時間帯のアリバイも調べていなかったという。

 何より深刻なのは、警察がこのうち二つの事件で、逮捕した人から容疑を認める供述を引き出していたことだ。

 たとえば、横浜市のサイトに「小学校を襲う」と書き込まれた事件では、犯行予告に「鬼殺銃蔵」というハンドルネームが記されていた。

 「銃蔵」は不吉な数字である「13」をもじった。神奈川県警に捕まった学生は、警察への上申書でそう「説明」したとされる。しかも予告の詳しい中身は公表されていないのに、上申書には同じ文言が使われていた。

 どんな取り調べ方をすると、やってもいない人がこんなことを書けるのか。

 予告の文面を見せて誘導するようなことはなかったか。検証して公表すべきだ。

 警察や検察は、過去の冤罪(えんざい)の教訓から、供述だけに頼ることなく、客観的な証拠を重くみる方針を示してきた。

 今回はネット上の住所にあたる「IPアドレス」という一見堅い物証があったゆえ、落とし穴にはまった面はある。

 しかし、「この人は犯人でないかもしれない」という目で証拠を捜す姿勢に欠けていた点で、結局は過去の過ちと変わりがない。

 自分もいつ犯人に仕立てあげられるか。事件は人々にそんな不安を植えつけた。捜査への信頼を取り戻すには、警察の取り調べの可視化も必要だろう。

 犯行予告は結局、実行されていない。証拠のパソコンも押さえた。そんなケースでも、勾留を続ける必要があったのか。

 そうした捜査のあり方も見直すべきだ。

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