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大学入試問題に非常に多くつかわれる朝日新聞の天声人語。読んだり書きうつしたりすることで、国語や小論文に必要な論理性を身につけることが出来ます。会員登録すると、過去50日間分の天声人語のほか、朝刊で声やオピニオンも読むことができます。
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その悔しさ、男は想像するしかない。「トイレで泣くときは声を出しちゃいけない……ハンカチを口に当て、歯を食いしばる。声を出さない泣き方も自然に覚えていった」。24歳の時に見知らぬ男2人に暴行された女性の手記から引いた▼沖縄で16日未明、米兵2人が女性を襲った疑いで逮捕された。帰宅中の被害者に声をかけ、追いかけて物陰に引きずり込んだという。通報を受けた県警の捜査員が、ホテルにいた2人を捕まえた▼いずれも米本土の海軍基地に所属し、3日に来日して14日に沖縄入り、16日にはグアムに移る予定だった。その数時間前だから、高飛びを逆算しての犯行らしい。二重三重の卑劣である▼言い間違いと思いたいが、森本防衛相は何度か「事故」と口にした。正念場の日米同盟に無用の波風を立てる偶発事、そんな思いが胸の片隅になかろうか。女性にすればむろん事故ではなく、己を消されるほどの悪夢だろう▼それこそ事故続きのオスプレイを配備され、全県が怒りに燃えている折だ。日米の政府は時局知らずの愚行と頭を抱えるが、ことの本質は出張兵の鈍感さではない。米国が沖縄を、米兵が日本女性を、占領中と同じ目で見ているような現実にこそ、いびつな同盟の矛盾が凝縮する▼婦人団体代表は「空に欠陥機、夜道に米兵」と嘆いた。騒音から犯罪まで、基地の負担を狭い島に押しつける国策は、やがて日米関係をも損なおう。沖縄の痛みを分かち合える想像力が、本土の側に問われている。