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2012年10月19日(金)付

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経済対策指示―このちぐはぐさは何だ

野田首相が経済対策のとりまとめを指示した。月例経済報告で景気判断が3カ月続けて下方修正されたことを受け、デフレ脱却と経済活性化へテコ入れを急ぐという。ところが、景気対策[記事全文]

少女への銃撃―貧しい国の女性に力を

女子の学ぶ権利を訴えていたパキスタンの14歳の少女、マララさんが撃たれ、重体だ。貧しい国の女性が教育を受け、自分の意思で生き方を選べるように支援する必要がある。反政府武[記事全文]

経済対策指示―このちぐはぐさは何だ

 野田首相が経済対策のとりまとめを指示した。月例経済報告で景気判断が3カ月続けて下方修正されたことを受け、デフレ脱却と経済活性化へテコ入れを急ぐという。

 ところが、景気対策につきものの補正予算の編成には触れなかった。

 今年度当初予算の財源の4割をまかなう赤字国債の発行法案が野党の反対で成立しておらず、歳出を積み増す補正予算案にはなおさら協力を期待できないからだ。

 このため、財源は当初予算に積んだ予備費に限られ、一般会計では1兆円程度。しかも赤字国債法案のたなざらしで、支出を抑制しているのが現状だ。予備費だけどんどん使うわけにもいかない。

 ブレーキをかけつつ、少しアクセルを踏むような、何ともちぐはぐなかじ取りである。

 まず赤字国債法案を成立させることが筋だ。

 国からのさまざまな支払いが集中する12月になると、やりくりも限界という。事態を放置すれば、景気どころか日々の暮らしまでが混乱しかねない。

 与野党は、衆院の解散・総選挙をめぐる不毛な駆け引きをやめ、法案の早期成立で協力しなければならない。

 政府が危機感を募らせる通り、景気は変調ぶりが目立つ。

 欧州の経済危機が長引き、その余波で新興国、とりわけ中国経済が減速してきた。さらに、尖閣諸島の問題をきっかけとした日本製品の不買運動や日本への旅行取りやめの影響も広がっている。

 大震災の復興需要が国内景気を下支えするうちに輸出が回復する――政府のこんなもくろみは崩れてしまった。

 財政難の深刻さを考えると、景気を押し上げるために予算をばらまく余裕はない。埋もれた需要を掘り起こす規制緩和策などと組み合わせつつ、限られた財源を有効に使い、成長率を底上げできるかが問われる。

 東日本大震災の復興関連予算では、被災地の再建と関係の薄いものが少なくないことが批判されている。

 疑問が強い項目は削除し、復興特別会計と一般会計の全体を見渡して、メリハリのある予算に組み替える必要がある。

 与野党の対立で延び延びになっていた国会での復興予算の検証がようやく始まった。効果的な予算の検討と円滑な執行は、国民の代表としての務めだ。

 審議を通じ、与野党ともにこのことを改めて自覚してもらいたい。

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少女への銃撃―貧しい国の女性に力を

 女子の学ぶ権利を訴えていたパキスタンの14歳の少女、マララさんが撃たれ、重体だ。貧しい国の女性が教育を受け、自分の意思で生き方を選べるように支援する必要がある。

 反政府武装勢力のパキスタン・タリバーン運動が犯行を認めた。この勢力は女子が学校に通うことを禁じ、それに従わないマララさんを狙ったという。

 許しがたい蛮行だ。

 マララさんは3年前から、学校に通う日々の思いをブログにつづり、政府が開いた講演会で女子にも教育が要ると唱えた。

 彼女が住んでいた地方をはじめ、世界にまだ、女性に教育は要らず、家が決めた相手と結婚すればいいという地域がある。

 脅されていながら、発言を続けたマララさんの勇気をたたえたい。彼女と同じ考えの少女は大勢いるに違いない。

 折しも、今月11日は国連が設けた第1回の「国際ガールズデー」だった。

 途上国でも貧困が緩和された地域はあるものの、女性、とくに若い少女たちを取り巻く状況はなお深刻だ。

 女子教育を否定する考えは、特定の宗教というより、アジアやアフリカの社会に残る因習によるものだろう。

 パキスタンの隣国アフガニスタンでも、小中学校に通っていない女子は100万人に達し、女性の成人識字率は男性の半分ほどしかないという。

 国際社会はさまざまな手立てで貧困撲滅に取り組んできた。

 それなのになぜ、女性への教育の遅れが残り、差別や暴力が減らないのか。

 とくに目を向けたいのが、古い因習が残る農村や、都市のなかでも最貧層の住む地域だ。

 少女たちは10代で結婚させられ、多くの子を産み、育児や水くみといった仕事に追われて、教育の機会を奪われる。

 ユニセフの推計では、15歳以前に結婚させられる女子は世界で2300万人に達する。若すぎる結婚は、生まれる子どもの健康も害することが多い。

 南アジアでは、若い女性に仕事があるとだまして売春させる人身売買や児童労働が横行している。さらには、望まない結婚から逃れようとする女性を一族が自らの手で殺害する、といった悪習も残っている。

 途上国の教育や地域保健への支援で、日本は経験を重ねてきた。女子学校の建設や、女性教師の育成で貢献できる。

 マララさんは治療のために英国に運ばれた。回復を祈り、犯行に抗議する声は、今後も国境を超えて広がっていくだろう。

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