HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 18 Oct 2012 01:21:09 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:一票の格差 平等の実現に早く動け:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

一票の格差 平等の実現に早く動け

 最大五倍にもなった二〇一〇年の参院選の「一票の格差」を最高裁は違憲状態と断じた。衆院も違憲状態と突きつけられている。国会は投票価値の限りない平等に向け、抜本改革に動きだすべきだ。

 今回の判決は、選挙制度の是正を図らなかった国会の怠慢への厳しい指弾だ。参院での違憲状態判決は、六倍を超えていた一九九二年の選挙だけだった。

 六倍未満なら合憲という流れに変化が表れたのは、〇九年の判決だ。合憲だったが、「選挙制度の仕組み自体の見直しが必要」と異例の“警告”が付いた。以前から改善の余裕があっただけに、今回、違憲に踏み切らなかった最高裁には生ぬるさも覚える。

 五倍の格差は、ある人が「一票」を持っているのに対し、ある人は「〇・二票」しか持っていないのと等しい。だから、原告は裁判を通じて、主権者たる国民の意思がきちんと反映される「一人一票」の制度を訴えていた。

 投票価値の等しい選挙をすることは、代議制民主主義の基本でもあろう。それなのに十五万票で当選する人と六十九万票で落選する人が出るのは、選挙区選挙が都道府県単位で行われているからだ。最高裁が判決で、この「現行方式をしかるべき形で改める」よう見直しを迫った点は評価できる。

 参院の選挙区定数を「四増四減」する案が出たが、継続審議となった。仮に成立しても、格差は四・七五倍も残り、単なる弥縫策(びほうさく)にすぎない。制度を抜本的に改めるならば、複数の都道府県を合わせる「合区」や、ブロック制、全国を一選挙区にすることなどが考えられよう。

 一〇年には当時の西岡武夫参院議長が比例代表を全国九ブロックに分割する試案を出した。この方法だと、格差は一・一三倍と飛躍的に縮まる。議長の提案は、本気で取り組めば抜本是正も可能だという重要な示唆だ。

 そもそも、五倍の格差が違憲状態で、仮に四倍なら合憲などという「線引き論」は、もはや説得力を欠いている。衆院では二・三倍の格差が最高裁で違憲状態となった。参院で五倍も格差があるのは、国民から見れば、明らかに違憲だろう。実際に三人の判事も、許容範囲は二倍などとし、「違憲」と反対意見を書いた。

 投票価値の不平等は、国民の一票をないがしろにしていることと同じだ。選挙の改革を最優先課題として取り組んでほしい。

 

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