HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 40144 Content-Type: text/html ETag: "ed30db-23cc-5b73c9c0" Cache-Control: max-age=1 Expires: Thu, 18 Oct 2012 02:21:07 GMT Date: Thu, 18 Oct 2012 02:21:06 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:天声人語
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天声人語

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2012年10月18日(木)付

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 捕まらない自信があるのだろう。他人のパソコンを遠隔操作し、殺人予告などを送信させた「真犯人」から、手口や目的を詳述した犯行声明である。東京の弁護士と放送局に届いたメールには、犯人だけが知り得る事実が含まれていた▼この人物は、事件で逮捕された4人に「巻き込んですみません」と謝る。一方、警察と検察には「あそんでくれてありがとう」とふてぶてしい。望み通り、捜査当局に「ネット冤罪(えんざい)」という恥をかかせた形である▼逮捕の決め手はいずれも、インターネット接続時に残るIPアドレス、いわばパソコンの指紋だった。ネット犯罪では、これの特定が犯人に迫る早道とされるが、犯行現場に他人の指紋を残せるとなれば、サイバー捜査のイロハが揺らぐ▼逮捕時は否認したのに、訴え空しく動機まで「自白」した人もいるらしい。「動かぬ証拠」をもとに、またぞろ密室で強引な調べがあったのではないか。体は拘束を解かれても、心の傷はなお残る▼ネットの闇には、面白半分に腕試しをしたがる狂気が潜んでいる。乗っ取りウイルスの主も、そこそこの手練(てだ)れなのだろう。そして、己の愚行が誰かの人生を狂わすことに想像が及ばぬ、高慢な未熟者に違いない▼誤認逮捕で人権を侵し、時間と血税を無駄に使った警察は、まなじりを決して逆襲するしかない。この手のモンスターが野放しでは、おちおちクリックもできない。愉快犯の続発を防ぐためにも、うぬぼれの仮面をはがし、素顔を拝みたい。

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