HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 52465 Content-Type: text/html ETag: "ed30e4-3a8b-5b73c9c0" Cache-Control: max-age=1 Expires: Thu, 18 Oct 2012 01:21:02 GMT Date: Thu, 18 Oct 2012 01:21:01 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:社説
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2012年10月18日(木)付

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定数判決―参院のあり方論ずる時

一票の格差が最大5倍あった2年前の参院選について、最高裁が「法の下の平等に反する状態だった」と判断した。以前から是正を求められながら、手をこまぬいてきた国会の責任は重い[記事全文]

米兵の犯罪―沖縄の怒りに向きあう

沖縄で、米海軍兵2人が女性への集団強姦(ごうかん)致傷の疑いで逮捕された。「正気の沙汰ではない」と、仲井真弘多(ひろかず)知事が述べたのは、当然だ。[記事全文]

定数判決―参院のあり方論ずる時

 一票の格差が最大5倍あった2年前の参院選について、最高裁が「法の下の平等に反する状態だった」と判断した。

 以前から是正を求められながら、手をこまぬいてきた国会の責任は重い。同じく違憲状態と指摘されて久しい衆院とともに改革を急がねばならない。

 判決は「都道府県を単位として定数を配分する現行の方式をしかるべき形で改めるなど」と具体的なやり方まで挙げ、制度を見直す必要を指摘した。

 権力分立の観点から、立法のありようについて司法は慎重なもの言いをしてきた歴史がある。それだけに、憲法の番人たちのいら立ちが伝わってくる。

 半数ずつ改選する参院では、各選挙区に最低2議席を割りふる必要があり、一票の格差を縮めるのは簡単でない。このため最高裁も長い間、寛容な姿勢をとってきた。判断を正当化したのが、参院選挙区の議員には都道府県の代表のような性格があるという考えだった。

 だからといって、民主政治の基盤である投票権の不平等に目をつぶるのは、本末転倒といわざるを得ない。

 最高裁も少しずつスタンスを変え、3年前の判決で初めて、選挙の仕組み自体の見直しに言及して注目を集めた。

 国会はどう応じたか。

 複数の県で選挙区をつくる合区案や、全国をブロックに分けて大選挙区制とする案も検討はされた。しかし大きな変化をきらう民主、自民両党などは、一時しのぎの4増4減案で合意。先の国会で参院を通過し、衆院で継続審議となっている。

 現定数のまま来年の参院選を迎えるよりは、ましかもしれない。だが、憲法上の要請よりも自分たちの都合を重んじるこうしたふるまいが、政治不信を深めてきた一因ではないか。

 朝日新聞は、政党が身を律せないなら、有識者による首相の諮問機関を設けて改革案を詰めよと唱えてきた。判決を受け、その感はいよいよ深い。

 そこでは、参院の役割は何かという根本から議論を重ねることが必要だ。ねじれ国会の下、首相の解散権が及ばない参院が政権の死命を決するような現状は、明らかにおかしい。

 憲法の規定を踏まえつつ、衆参両院の関係をどう位置づけ、参院にはいかなる権能を担わせるか。そこをはっきりさせることが、どんな選挙の仕組みをとるべきか、一票の格差はどこまで許容し得るか、という問いへの答えにつながる。

 司法の警告を重く受けとめ、速やかに議論を始めるべきだ。

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米兵の犯罪―沖縄の怒りに向きあう

 沖縄で、米海軍兵2人が女性への集団強姦(ごうかん)致傷の疑いで逮捕された。

 「正気の沙汰ではない」と、仲井真弘多(ひろかず)知事が述べたのは、当然だ。

 容疑者2人は米国本土から出張で来ていた。事件がおきたのは未明。その日の午前中に沖縄を出てグアムへ行く予定だったという。「沖縄を出てしまえばわかるまい」とでも考えたのだろうか。

 沖縄では、1995年に米海兵隊員3人による少女暴行事件がおき、県民の怒りが燃え上がった。基地の再編や、事件をおこした米兵の扱いをめぐって日米間の交渉が行われた。

 だがその後も、米兵による犯罪はなくならない。性犯罪に限っても、この10年余りで中学生への強姦や強制わいせつ、ほかにも強姦致傷、今年8月にも強制わいせつ致傷の事件がおきた。被害者が泣き寝入りし、表に出ない事件もあるとみられている。

 沖縄では、米軍によって女性や子どもの身の安全を脅かされていると受けとめる人がふえている。

 仲井真知事は「日米地位協定を改定しない限り問題は出てくる」と述べた。

 今回の事件は容疑者を基地外で見つけて警察が逮捕したが、もし基地内に入っていれば、米兵や軍属を手厚く守る協定によって、引き渡しに時間がかかっただろう。ほかの事件では、地位協定があることで米兵や軍属が「軍の公務中だった」といった言い分で、日本側が捜査できなかったことがある。

 重大な事件がおきるたびに少しずつ運用で見直されているとはいえ、沖縄をはじめ米軍基地を抱える自治体は、協定そのものを変えなければ犯罪は減らないという強い思いがある。

 そして沖縄には、安全への心配がぬぐえぬ新型輸送機オスプレイが配備されたばかりだ。不信が募っているときの、この卑劣な事件である。

 日本と米国の協調は大切だ。そのことを多くの人が感じている。だが、今回の事件が火種となって、再び沖縄で反基地の思いが爆発することは十分に考えられる。

 日米両政府は真剣に対策を講じる必要がある。

 沖縄で米兵による事件が多いのは、国土の面積の0.6%にすぎないこの島に、在日米軍基地の面積の約74%が集中している現実が根底にある。

 沖縄の負担をどう分かつか。沖縄の外に住む一人ひとりが考えなくてはならない。

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