HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 52023 Content-Type: text/html ETag: "d0ac7-1848-4cc2fb35d9449" Expires: Tue, 16 Oct 2012 22:21:47 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 16 Oct 2012 22:21:47 GMT Connection: close 原発住民投票 再稼働の判断にはなじまない : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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原発住民投票 再稼働の判断にはなじまない(10月17日付・読売社説)

 原子力政策は経済成長や雇用、安全保障などにかかわる問題だ。

 住民投票によって是非を決めるべきではない。

 安全性を確認できた原子力発電所の再稼働は、地元の意向に配慮しつつ、政府が責任を持って決断する必要がある。

 静岡県にある中部電力浜岡原子力発電所を再稼働すべきかどうかを問う住民投票条例案が、静岡県議会で否決された。

 条例案は、市民団体が16万人を超える県民の署名を添えて、静岡県に請求していた。

 住民投票をしても、その結果に法的拘束力はないが、政府や自治体、電力会社の判断に影響を与えよう。県議会が条例案を退け無用の混乱を防いだのは、良識ある判断だと評価したい。

 問題は、静岡県の川勝平太知事が、条例案の提出を求める署名が多数だったことを理由に挙げ、住民投票の実施に賛成の意向を示したことである。

 浜岡原発は静岡県内だけでなく中部電力管内を中心に広域の電力供給を担ってきた。

 しかし、菅前首相が昨年5月、法的根拠もなく運転停止を強要して、その後も再稼働できない状況になっている。

 原発立地自治体の首長は、安全性や電力需給、地元経済への影響などを多角的に考慮し、再稼働への賛否を判断する責務がある。

 川勝知事が、こうした重い決断を住民投票に“丸投げ”しようとしたことは、民意の尊重というより、責任逃れだと言われても仕方あるまい。

 住民投票は、賛否について二者択一を求める。「条件つき賛成」といった多様な意見に分かれる原発再稼働問題などには、そもそも適さない手法だ。

 市町村合併など、投票結果の影響が外部に波及しないテーマに限定するのが筋だろう。

 東京電力柏崎刈羽原発のある新潟県でも、住民投票条例案の提出に向けた手続きが進んでいる。静岡のような動きが多くの立地自治体に広がる懸念は拭えない。

 政府は当面、原発を重要な電源と位置づけ、活用する方針を決めている。着実に再稼働を実現することが何より重要だ。政府は電力会社とともに、真摯(しんし)に地元の説得にあたる必要がある。

 だが、枝野経済産業相ら担当閣僚は、個々の原発再稼働の判断を原子力規制委員会に委ね、地元の説得も電力会社任せにする構えを見せている。こんな「責任を果たさない政治」は許されない。

2012年10月17日01時32分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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