HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 39837 Content-Type: text/html ETag: "ea9d40-23ca-3f6c0800" Cache-Control: max-age=3 Expires: Fri, 12 Oct 2012 23:21:07 GMT Date: Fri, 12 Oct 2012 23:21:04 GMT Connection: close
大学入試問題に非常に多くつかわれる朝日新聞の天声人語。読んだり書きうつしたりすることで、国語や小論文に必要な論理性を身につけることが出来ます。会員登録すると、過去50日間分の天声人語のほか、朝刊で声やオピニオンも読むことができます。
|
およそ戦争は「大人の男」が始め、あすを担う女性と子どもの犠牲に耐えかねて終わる。武力をもてあそぶ者にとって、時に「おんなこども」は煙たい。それが物申す人であれば、脅威にも映ろう▼パキスタンの武装勢力が、彼らの非道ぶりを訴えた14歳の少女を狙い撃ちにした。テロ組織アルカイダにつながるパキスタン・タリバーン運動(TTP)は犯行を認め、「誰だろうが逆らう者は殺す」と居直る▼銃撃されたマララ・ユスフザイさんは、女子教育を認めないTTPに屈せず、おびえながら学校に通う日々を3年前からブログに記してきた。パキスタン政府は平和賞を贈り、共感の輪が世界に広がったが、TTPには睨(にら)まれた▼地元の警察によると、下校の生徒を乗せたスクールバスに覆面の男が乗り込み、「マララはどこだ」とすごんで発砲したそうだ。銃弾は頭部に当たり、予断を許さぬ容体という。他の少女2人も負傷した▼見境なしとはこのことだ。子どもまで手にかける歪(ゆが)んだ大義に言葉を失う。過激なイスラム主義を奉じるタリバーンは、支配地で娯楽を禁じるなど、厳しい戒律を強いてきた。アフガニスタンでは、貴重なバーミヤンの大仏を「偶像崇拝だ」と爆破している▼蛮行の数々は、平和を愛するほとんどのイスラム教徒にも迷惑至極だろう。今はただ彼女の快復をアラー(神)に祈りたい。――少し休もうか、マララ。君を貫いた銃弾は、何万倍もの怒りとなって、女性差別と狂信者たちを撃つはずだ。