HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 09 Oct 2012 00:22:30 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞: <人生の吉凶は変転し、予測できない。幸運を喜んだり、不幸…:社説・コラム(TOKYO Web)
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 <人生の吉凶は変転し、予測できない。幸運を喜んだり、不幸を悲しんだりするべきではない>。ノーベル医学生理学賞の受賞が決まった京都大iPS細胞研究所長の山中伸弥さんが好きな言葉は、中国の故事「塞翁(さいおう)が馬」だ▼五十歳での栄誉。順風満帆と思いきや、挫折の連続だったとは本人の弁だ。医学で治せない病気を前に無力感に襲われ、臨床医から基礎研究の道を志す▼米国留学から帰国すると、研究環境は天と地の差だった。実験用マウスの世話に追われる日々。絶望して研究を続ける自信を失った時、奈良先端科学技術大学院大学の助教授の公募を知った▼だめなら基礎医学はあきらめる。そう決めて応募すると採用に。人間の皮膚からあらゆる細胞になれるiPS細胞(人工多能性幹細胞)をつくり治療に生かす−。「人類の夢」への一歩が始まった▼全身の筋肉が衰える筋萎縮性側索硬化症(ALS)や筋ジストロフィーなどの治療、不妊症の原因解明などに期待が高まる。細胞をどこから「ヒト」として扱うのか、など倫理的な課題も多いが、受賞は研究の大きな弾みである▼今年三月、山中さんは京都マラソンを走った。研究費は決して十分ではない。完走を条件にiPS基金への寄付を呼びかけると約一千百万円が集まった。難病患者の家族の寄付も多かった。期待を背に夢の実現に向かって走る。

 

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