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天声人語

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2012年10月9日(火)付

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 「日本代表」は五輪やW杯だけではない。連休中、テニスの錦織圭選手は母国でツアー2勝目をあげ、パリの凱旋門賞に挑んだオルフェーヴルは首の差に泣いた。そして、山中伸弥京大教授(50)のノーベル医学生理学賞である▼教授が先駆けた「iPS細胞」はあらゆる人体組織となり、再生医療の切り札と期待される。ご自身が「まだ一人も助けていない」と謙遜した通り、いわば現在進行形の発明だ▼自分の皮膚から作った細胞で、臓器を治せる日が来るかもしれない。山中さんには、難病の患者や家族から激励と相談が絶えないと聞いた。「待つ人」の存在はありがたくも、身が引き締まる思いだろう▼同僚のチームはマウスのiPS細胞から卵子を作り、子を誕生させた。万能細胞をめぐる日進月歩を、山中さんは冷徹に見守る。今は京大iPS細胞研究所の初代所長として、倫理面など、ほやほやの技術の管理にも関わる立場となった▼お見かけする限り近づきがたさはない。白衣より小じゃれたジャケットが似合う、ナイスミドルの趣だ。19歳で芥川賞を受けた綿矢りささんが、苦節何年の風情から遠かったのを思い出す。「らしくない」人の栄誉は、清新でいい▼この賞も、ゴールではなく新たなスタートだろう。道を究めれば、一人の医者が一生かけて救える命の、何倍もを救える。まだ見ぬ功績は「日本代表」の域を超えて、人類史に刻まれるかもしれない。未来につながる「現役の頭脳」の快挙を、ともに喜びたい。

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