HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 06 Oct 2012 23:21:03 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:週のはじめに考える 普天間移設はグアム最適:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

週のはじめに考える 普天間移設はグアム最適

 沖縄の普天間飛行場に配備された米軍の新型輸送機MV22オスプレイへの抗議行動は強まる一方です。米軍の分析では普天間のグアム移転が最適です。

 米国防総省は「米国でもオスプレイは民家の上空を飛んでいる」とコメントを出しました。だから日本でも、というのでしょうか。

 九月七日、米ノースカロライナ州で住宅街の空き地にオスプレイが緊急着陸しました。普天間飛行場の周囲には宜野湾市民九万人が生活しています。緊急事態に備える空き地などありません。米国とは違うのです。

◆規定違反の飛行場

 米軍は滑走路両端の延長線上をクリア・ゾーン(利用禁止区域)と定めています。普天間飛行場のそこには普天間第二小、医院など十八施設と八百戸の民家があります。米軍の規定に従えば、存在できるはずのない基地なのです。

 「世界一危険な飛行場」を解消するため、日米は一九九六年、移設を決めました。曲折を経て名護市辺野古となりましたが、沖縄の強い反対により、実現する見込みはありません。

 米軍は独自に適地を探しました。手元に在日米軍司令部が九六年七月にまとめた「海兵隊普天間基地の嘉手納空軍基地への移設可能性に関する技術評価」という文書があります。

 当時、日本側が沖縄の嘉手納基地への統合を有力視した時期です。文書は空軍と仲が悪い海兵隊を受け入れる嘉手納統合案をまず却下しました。

 続いて沖縄の米軍基地三カ所、そして本土の自衛隊基地を滑走路、面積、民家との距離など五点で比べ、「本土の自衛隊基地」に満点を与えています。同時に「自衛隊基地を有事に利用する日米合意は存在しない」と退け、二位のキャンプ・シュワブすなわち名護市辺野古を推挙しました。

◆米軍が評価する適地

 この文書が作成された後の九九年、日本で周辺事態法が制定され、周辺有事の際、米軍は自衛隊基地を利用できることになったのですから、自衛隊基地への移転が最適となります。ただ本土の自治体はいずれも受け入れを拒否しており、現実的ではありません。

 手元にはもうひとつの文書、二〇〇九年十一月、米海軍グアム統合計画室が作成した「沖縄からグアムおよび北マリアナ・テニアンへの軍移転に関する環境影響評価書」があります。

 海兵隊が軍事展開する候補地として沖縄のほか、米国四カ所、海外四カ国を挙げています。

 「同盟や条約上の制約」「東南アジアへの所要時間」「活動の自由」で比較し、沖縄は所要時間で合格したものの、「活動の自由」で不合格。三項目とも合格の満点だったのはグアムだけでした。

 文書によると、グアムにはオスプレイ二十四機を含め、最大で六十九機の海兵隊機の配備が予定されています。飛行場は島の北端にあり、周囲に民家はありません。

 沖縄駐留の「第三一海兵遠征隊(MEU)」のグアムでの訓練は年四回に倍増されます。一回の訓練は三週間で、三一MEUは最低でも三カ月は沖縄を空けることになるのです。ただでさえ、災害派遣や人道支援で沖縄を不在にすることが多いのに、です。

 沖縄に駐留する実戦部隊は三一MEUを含め三つです。日米は四月、そのうちの第四海兵連隊のグアム移転に合意しました。残る第一二海兵連隊は砲兵隊で、日本本土への訓練移転のためおよそ半年間は沖縄にいないのです。実戦部隊が移転したり、不在がちだったりするのです。普天間飛行場を沖縄に置く意味は薄れています。オスプレイごとグアムに移転させるべきです。

 米国は弾道ミサイルから逃れるため、海兵隊の分散配置に踏み切り、オーストラリアに基地をつくりました。世界中で沖縄だけで実施していたジャングル訓練もできます。受け入れ準備は万全です。

 米国の音頭で日豪の防衛交流が進みます。日米豪の連携を考えれば、沖縄に海兵隊の司令部と後方支援基地を残し、グアム、オーストラリアに実戦部隊という役割分担をするべきです。オーストラリアとの距離は沖縄より、グアムが近いのですから、オスプレイのグアム配備は実に合理的です。

◆沖縄に押し付けるな

 沖縄から実戦部隊が消えることによる抑止力低下を指摘する向きがあります。冷戦最中の七〇年代までに、ソ連と向き合う北海道から米陸軍の実戦部隊が全面撤収しましたが、何事も起こりませんでした。

 抑止力とは沖縄だけ、また海兵隊だけが担うものではありません。日本には十分過ぎるほどの米軍がいるし、自衛隊がいます。沖縄に負担を押しつける安全保障体制から脱皮せねばなりません。

 

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