HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 06 Oct 2012 01:21:47 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:年金基金廃止 運用失敗のツケ回すな:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

年金基金廃止 運用失敗のツケ回すな

 厚生労働省は、企業年金のひとつである厚生年金基金制度の廃止方針を決めた。財政難の基金を解散させて損失拡大を防ぐ狙いだが、穴埋めに公的な厚生年金の資金を使うことは許されない。

 高い運用益をうたい集めた年金資産を消失させたAIJ投資顧問の事件は、投資環境の悪化で財政難に陥った厚生年金基金が抱える問題をあぶり出した。

 悩ましいのは基金が運用益をより増やすために、公的な厚生年金の一部を国から借りて運用する「代行部分」だ。

 受給者への支給に必要な資金が積立額を下回る「代行割れ」が生じている。約五百七十ある基金の半数がこの状態で、総額一兆千百億円が不足している。

 厚労省の方針は、制度を十年程度の期間を置いて廃止する。基金が解散するには代行部分の積立金を国に返す必要があるが、返済額の減額を検討する。基金をつくる母体企業が返済責任を連帯して負うルールもやめ連鎖倒産を防ぐ。

 一九六六年に創設された基金は、経済成長期には高い運用益を得た。今は厚生年金の積立金を借りてまで運用するメリットは少ない。そもそも公的年金を民間に預けることに問題があるとあらためて指摘された。廃止はやむを得まい。

 だが、基金の積み立て不足の穴埋め問題が残る。返済不能の基金がでてくるからだ。

 辻泰弘前副大臣は「厚生年金本体の財政に関わる部分もありうる」と穴埋めに本体の積立金を使う考えも述べた。積立額は百兆円を超えるが、使っても影響が少ないと考えているとしたら問題だ。

 本体は基金とは無関係な加入者が長年積み立ててきた資金だ。運用失敗のツケを回されてはたまらない。加入者が納得する負担のあり方があるなら示してほしい。

 これまで運用益を享受してきた基金にまず責任がある。年金支給額の減額や不足資金の返済に努めることは当然である。

 全国の基金に計約七百万人の加入・受給者がいるが、解散で上乗せ分の企業年金はもらえなくなる。解散への仕組みや不足資金の負担のあり方、中小企業が加入できる新たな企業年金の姿など肝心の改革の具体案は後回しにした。これでは基金の加入・受給者は安心できない。

 厚労省は基金をOBの天下り先に利用しながら、財政悪化を放置した責任がある。納得と安心を得られる改革案を早く示すべきだ。

 

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