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大学入試問題に非常に多くつかわれる朝日新聞の天声人語。読んだり書きうつしたりすることで、国語や小論文に必要な論理性を身につけることが出来ます。会員登録すると、過去50日間分の天声人語のほか、朝刊で声やオピニオンも読むことができます。
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おおらかな時代、野球場の周りには「ただ見の名所」があったものだ。ビルの屋上に人影を認めても、とがめる客などいない。しかし内野席やネット裏にかなりの「ただ」が交じると知れば、穏やかではなかろう▼3割近い世帯が払っていないNHKの受信料にも、同様の不公平感がくすぶる。10月からの初値下げは、払っている世帯の不満を和らげる「施し」だろうか。いかんせん不払いが多すぎる▼受信料の支払率は、今年3月末で72%台である。新たに公表された都道府県ごとの数字を見て、その地域差に驚いた。支払いの歴史が本土より浅い沖縄は42%で、6割近くが払っていない。次いで大阪57%、東京61%と続く▼逆は秋田の95%を筆頭に、島根91%、新潟90%など。これほどの格差を知れば正直者は収まるまい。NHKを見たくない人のためにも、払わなければ映らないスクランブル放送を望む声がある。球場でいえば、外からのぞけないドーム化だ▼財産の差し押さえなど、NHKの「取り立て」は厳しさを増し、空室や視聴時間に配慮してきたホテルチェーンに対しても全室分を求め始めた。3万4千室が未契約の東横インは、裁判で5億5千万円を請求されている▼増収や効率化と並んで、NHKの重い宿題は公共放送ならではの番組づくりだ。「Nスペ」的な深掘りや、かつての「プロジェクトX」のような教養系にこそ、お金と人を割いてほしい。ただ見は捨て置けないけれど、有料で見せられる凡戦もつらい。