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天声人語

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2012年10月3日(水)付

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 昭和が薫る名言「男の顔は履歴書」は、「女の顔は請求書」と続く。それなりの容姿を保つには金がかかる、という意味だろう。美顔エステやサプリメントは「10歳若く」などと宣伝するが、時を戻すのは重力に逆らうより難しい▼ダビンチの名画「モナリザ」の、若き日の姿を描いたような絵がある。先ごろ専門家が「これもダビンチの作」と鑑定した。すなわち時は戻り、ルーブル美術館にある至宝は「連作の2枚目」ということになる▼この絵は1913年、英国で見つかった。発見地の名から「アイルワースのモナリザ」と呼ばれ、ここ40年はスイスの銀行が保管中。実は6月まで、日本での美術展で公開されていた▼二つの美顔は造作がそっくりで、ポーズも同じだ。デジタル解析、炭素による年代測定の結果、巨匠自身が同じ女性を約10年前に描いたもの、と判定された。未完の背景は筆致が異なり、別人が描き足したらしい▼疑問もある。モナリザはポプラの薄板に描かれたが、若い方はダビンチには珍しくカンバスの上でほほえむ。髪形まで一緒なのに細部の仕上げが違うとして、模写と断じる識者もいる。筆者も「初対面」での違和感、つるりとした気味悪さを拭えないでいる。魔性の若さである▼思えば、これほど「消費」されてきた絵もなかろう。まねされ、盗まれ、日本にも来た。研究論文、関連商品、パロディーのたぐいは数知れず、今も話題を提供し続ける。5世紀分の「微笑代」を請求したいに違いない。

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