HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 51906 Content-Type: text/html ETag: "d10bb-184d-4ca891e1b0545" Expires: Tue, 25 Sep 2012 21:21:48 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 25 Sep 2012 21:21:48 GMT Connection: close 最高人民会議 不透明な「北」の経済立て直し : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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最高人民会議 不透明な「北」の経済立て直し(9月26日付・読売社説)

 将来を見越して布石を打っているのだろう。どれだけ成果を上げられるかは依然、不透明だ。

 北朝鮮で、国会にあたる最高人民会議が開かれた。4月に正式に発足した金正恩体制下で2回目の開催である。

 今回の会議では、現在11年の義務教育を12年に延長する決定が行われた。基礎的知識に加えてコンピューター技術や外国語の教育を強化するという。

 初等中等教育の年数を日本や韓国並みに充実させることで、激しい国際競争に負けない人材を育てる狙いがある。核兵器や弾道ミサイル開発など軍事近代化への対応も当然、計算に入れていよう。

 教育の重視は、発足から約半年たった金正恩体制が、長期執権をにらんだ基礎固めの施策の一つととらえることができる。

 もとより体制にとって最優先の課題は、経済の立て直しだ。

 北朝鮮は、核実験や弾道ミサイル発射を強行したことによって、国際社会の経済制裁下にある。政策の失敗に加え、自ら招いた制裁の下で、苦境は深まる一方だ。

 国民が不自由なく食べられるよう食糧問題を解決し、暮らしがよくなったと実感できる成果を上げなければ、体制は内部から崩壊せざるを得まい。

 金正恩体制が、最大の支援国で伝統的友邦の中国と、関係強化に腐心するのは不思議ではない。

 金正恩朝鮮労働党第1書記は8月、訪朝した中国共産党の王家瑞・対外連絡部長と会談し、外交デビューを果たした。

 同じ8月、第1書記の義理の叔父、張成沢・国防委員会副委員長が訪中し、中朝国境地帯にある経済特区の共同開発推進で中国側と合意した。中国の投資をテコに外貨を稼ごうという計画だ。

 近く実現するとみられる第1書記の訪中の際に、中国の指導部が一層の援助を約束するのではないか、との観測が強い。

 北朝鮮自身、農業や工業の生産性向上のため、生産割り当て分を達成しさえすれば、余剰分については私有などを認める新制度を導入するとも伝えられている。

 経済再建へ、取り組みを本格化しているように見える。

 だが、北朝鮮は過去にも経済改革を試みては失敗し、混乱を招いた経緯がある。まして、軍事最優先の「先軍政治」を転換したかどうかも定かでない。新たな政策を展開するにせよ、成果が上がらねば深刻な反動や副作用が出る。

 金正恩体制の行方は、なお慎重に見極める必要がある。

2012年9月26日01時22分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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