HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 40065 Content-Type: text/html ETag: "b34101-23eb-92cc4200" Cache-Control: max-age=3 Expires: Wed, 26 Sep 2012 00:21:08 GMT Date: Wed, 26 Sep 2012 00:21:05 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:天声人語
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天声人語

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2012年9月26日(水)付

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 たとえば結婚式。スピーチで年配のおじさんが「人生で大切な10の心構え」などと話しだすと3分では終わらない。この手の話は長びくのが相場。終わるとやれやれで、一息つきながら拍手と相成る▼退屈な冗舌もやりきれない。英国の作家モームの短編にそんな女性が出てくる。周りの辟易(へきえき)には気がつかない。「平凡きわまることを、釘を壁にハンマーで打ち込むように、他人の耳の中へと押し込んだ」(行方〈なめかた〉昭夫訳)。知り合いの顔が浮かんだ方(かた)も、おいでだろうか▼あれこれ思いながら、先日の記事を読んだ。人を笑わせ、考えさせる科学研究などに贈られる恒例の「イグ・ノーベル賞」を日本人の研究者2人が受賞した。発明したのはおしゃべりを黙らせる装置。一台ほしい、という声があちこちから聞こえそうだ▼話している人に向けて、0.2秒ほど遅れてその声を送り返す。すると混乱して話し続けられなくなるらしい。長話を黙らせたいという「人類の根源的問題」に応えようとした。そんな評価もあるそうで、ユーモアの味わいがいい▼思えば、目は閉じたいときにすぐ閉じられる。しかし耳は同じようには閉じられない。だから携帯電話の話し声やら、聞きたくないのに聞こえてしまう▼一方で、退屈な講演などを「最高の子守歌」と言う人もいる。耳が閉じられないゆえの余得だろう。うつらうつらの船漕(こ)ぎは、なかなか幸せな一時(ひととき)でもある。ユニークな賞に誘われて、秋の一日、連想があちらこちらへ広がった。

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