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2012年9月25日(火)付

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日中40年―交流の窓は閉ざすな

日中の国交正常化40周年を記念する式典が、事実上中止になった。尖閣諸島をめぐる関係悪化を受けた中国側の決定だ。事態打開のきっかけになればという期待もあっただけに、非常に[記事全文]

民主党人事―これで政治が動くのか

民主党代表に再選された野田首相が、新しい党役員人事を決めた。党の要の幹事長には輿石東氏を再任する。政調会長に細野豪志環境相、幹事長代行に安住淳財務相をあてる。[記事全文]

日中40年―交流の窓は閉ざすな

 日中の国交正常化40周年を記念する式典が、事実上中止になった。尖閣諸島をめぐる関係悪化を受けた中国側の決定だ。

 事態打開のきっかけになればという期待もあっただけに、非常に残念だ。

 式典は1972年9月29日の正常化を記念し、節目の年に開かれてきた。中止は初めてだ。日本政府が尖閣購入で「記念の雰囲気を壊した」のが理由という。中国は激しい対日批判を続けており、国家指導者が日本との友好をうたう局面ではない、という判断だ。

 中国の強硬姿勢は、経済、文化、スポーツといったさまざまな分野にまで及んでいる。

 日中経済協会(会長=張富士夫・トヨタ自動車会長)は、25日に出発予定だった訪中団の派遣を、前日になって延期した。要人との会見や、政府機関への表敬訪問を断られたためだ。

 例年は首相や副首相らが会見しており、日中の経済的なつながりの太さを象徴する意義深い訪中団だった。

 また、国交正常化記念事業の日本側事務局によると、中国で近く予定されていた行事は軒並み中止になっている。

 自治体や民間などが企画した事業を記念行事として認定しているが、認定の申請は初めは低調だった。日中関係を揺るがす出来事が相次いだためだ。

 河村たかし名古屋市長による南京虐殺の否定や、新疆ウイグル自治区からの亡命者組織による「世界ウイグル会議」の東京開催には中国が強く反発した。一方、中国の海洋監視船が尖閣付近の日本領海に侵入し、日本の国民感情を刺激した。

 関係者は気をもんだが、春以降に申請が増え、計600件以上になっていた。それだけに、中止にはやり切れぬ思いだ。

 日中は、歴史問題など政治的に難しい要素も抱えている。そんな両国の関係を支えたのは、今や年間貿易総額が約3450億ドル(約27兆円)に上る経済関係であり、人的交流だった。中国は、先人が積み重ねてきた努力を無にしてはならない。

 朝日新聞が8〜9月に行った日中世論調査では、関係がうまくいっていると思わない人が日本で90%、中国で83%だった。相手国が嫌いという回答は日本で38%、中国で63%あった。深刻に受け止めるべきだ。

 中国は、式典にあわせて用意していた日本の友好団体代表と中国要人の会見はそのまま行う構えだ。国連総会での外相会談も模索されている。かろうじて残ったパイプを生かし、本来の交流の再開につなげたい。

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民主党人事―これで政治が動くのか

 民主党代表に再選された野田首相が、新しい党役員人事を決めた。

 党の要の幹事長には輿石東氏を再任する。政調会長に細野豪志環境相、幹事長代行に安住淳財務相をあてる。

 原発事故の処理に取り組んできた細野氏は、マニフェストをまとめ、国民向けにアピールするねらいだ。厳しい国会運営を強いられるなか、国会対策に通じた安住氏の起用もわかる。

 首をかしげるのは輿石氏を再任させたことだ。

 首相は、社会保障と税の一体改革をめぐる民主、自民、公明の3党合意を「着実に進める態勢をつくった」と説明する。

 だが、額面通り受け取ることはとてもできない。

 輿石氏は、一体改革関連法の成立の際に3党首間で合意した「近いうち」の衆院解散について「こだわる必要はない」と発言して野党の不信を買った。

 先の国会に、複雑な衆院の選挙制度改革法案を提案したのも、最高裁から違憲状態を指摘されている「一票の格差」の是正を遅らせ、解散を先送りするためと疑われている。

 輿石氏の再任について、自民党などからは、さっそく反発が出ている。

 これで3党の協力関係を維持し、社会保障制度改革を具体化できるのか。はなはだ疑問だ。

 支持率が低迷する民主党では早期解散反対論が大勢だ。離党を表明する議員が相次いでおり、衆院はあと6人で過半数を割り込む。

 首相としては、これ以上、離党者が出ぬよう、解散に慎重な輿石氏をとどめた。そうみられてもしかたあるまい。

 いま国会が最優先で取り組むべきは、赤字国債法案や一票の格差是正といった懸案を速やかに処理することだ。

 だが、解散から逃げるばかりでは野党の協力を得られず、秋に臨時国会を開いても空転しかねない。

 社会保障の国民会議の立ち上げなど、一体改革の肉付けも進まないだろう。

 政権維持と解散先送りのために政治を停滞させるとしたら、本末転倒もはなはだしい。

 今週の自民党総裁選後、首相は自民、公明両党に党首会談を呼びかけるという。

 首相に求めたい。

 その際、3党合意を堅持することを再確認するとともに、輿石氏ら執行部にもその方針を徹底することを約束するのだ。

 首相の指導力で3党の信頼関係を築き直す以外、政治を前に進める道はない。

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