HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 52891 Content-Type: text/html ETag: "a31c9-182b-4ca24ca158457" Expires: Thu, 20 Sep 2012 22:21:07 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 20 Sep 2012 22:21:07 GMT Connection: close 日航再上場 課題も残したスピード再建 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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日航再上場 課題も残したスピード再建(9月21日付・読売社説)

 経営破綻した日本航空が、2年7か月で東京証券取引所に再上場した。過去に例がない「スピード再建」だが、これからが本当の勝負である。

 日航は2010年1月に会社更生法の適用を申請し、翌月に上場廃止となっていた。取引初日の19日の終値は、売り出し価格を上回る3830円を付け、その後も順調な売買が続いている。

 予想以上のV字回復で、日航は世界屈指の収益を上げる航空会社に生まれ変わった。投資家はその企業価値を評価したのだろう。

 日航株のほとんどを保有する企業再生支援機構は、全株売却して6500億円を手にした。日航に出資した公的資金3500億円を全額回収した上、売却益も得た。2次破綻に陥らず、国民負担を回避できた点は歓迎できる。

 日航が短期間で再生した要因は、更生法適用で懸案だった高コスト体質を改善できたことだ。

 人員削減や不採算路線からの撤退など大規模なリストラを進め、12年3月期の営業利益は過去最高の2049億円に膨らんだ。法的整理による強制的な経営改革の効果は大きかったと言える。

 公的資金や銀行の債権放棄、法人税減免という官民の支援を受けた。それが巨額の利益を実現したことも忘れてはなるまい。

 今後求められるのは経営の自立である。格安航空会社の台頭などで競争が一段と激しくなる中、戦略が問われよう。

 日航は、アジアなどでの国際線の輸送能力を25%拡大するなど、国際線を成長の柱に据える。

 合理化戦略から積極攻勢に転じるのはいい。だが、破綻の一因となった無理な路線拡大や航空機材購入に走れば、「いつか来た道」に戻りかねない。

 現在の高収益に慢心せず、経営体力をいかに維持・強化できるかが成長のカギを握る。

 日航再建は、破綻企業への政府支援のあり方にも課題を残した。手厚い支援で復活した日航と、自力経営を続ける全日本空輸との間に格差が生じたためだ。

 12年3月期の税引き後利益は、日航が全日空の6倍に達し、13年3月期でも3倍以上の開きが見込まれる。日航の法人税減免はしばらく続く見通しだ。

 竹島一彦公正取引委員長が国会答弁で、「明らかに競争条件に大きな影響が出ている」との見解を示した意味は大きい。

 羽田空港の発着枠配分などを通じて、公正な競争環境の確保を検討することが求められよう。

2012年9月21日01時40分  読売新聞)

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東京本社発行の最終版から掲載しています。

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