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天声人語

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2012年9月21日(金)付

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 東京の多摩動物公園でユキヒョウ(雪豹)の母が死んだという記事に、いささか感じるものがあった。3頭の子を去年産んで育てていた。エサの時間だけは、一緒にしておくとすべて子に与えて食べないため、部屋を分けていたそうだ▼その日も子を別の部屋に移した。油圧扉を閉めているときに子が鳴きだし、母豹は飛び込もうとして扉に挟まれたという。〈物いはぬ四方(よも)の獣(けだもの)すらだにもあはれなるかな親の子を思ふ〉。源実朝の一首が胸に浮かんだのは、人間の感傷だろうか▼動物にも、親から愛情を受ける大切な時期がある。子猫や子犬がかわいいといって、生後すぐに売り買いするのは酷だと、動物愛護法が改正された。まず生後45日までは親から引き離すのを禁じた▼離すのが早すぎると、成長してから、吠(ほ)える、噛(か)むなどの問題行動を起こしやすいという。その結果飼い主に捨てられ、殺処分につながる。人間の欲と身勝手に翻弄(ほんろう)される命は少なくない▼ひどい話もある。ある本によれば、飼い犬を処分するよう自治体の施設に連れてきて、帰りに子犬を「譲ってくれ」と言った男がいたそうだ。犬、猫の処分は減ってはきたが、それでも年に約20万匹にのぼる▼コンパニオンアニマルという言葉はうるわしい。ペットとして飼うイメージを超えた、伴侶としての動物を言う。愛情を注いで、癒やされる。その情けをかりそめに終わらせないのが人の道だろう。使い捨てではない命。きのうから動物愛護週間が始まっている。

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