HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 52645 Content-Type: text/html ETag: "25354-1854-4ca106a45394b" Expires: Thu, 20 Sep 2012 02:21:53 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 20 Sep 2012 02:21:53 GMT Connection: close 原発ゼロ方針 「戦略」の練り直しが不可欠だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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原発ゼロ方針 「戦略」の練り直しが不可欠だ(9月20日付・読売社説)

 こんな決着では、「原子力発電ゼロ」を見直すのか、それとも強行するのか、あいまいだ。

 政府は、日本経済や雇用に多大な打撃を与えかねない「原発ゼロ」を明確に撤回し、現実的なエネルギー戦略を練り直すべきである。

 政府が、2030年代の「原発稼働ゼロ」を目指すとした「革新的エネルギー・環境戦略」の閣議決定を見送った。

 代わりに「戦略を踏まえて、関係自治体や国際社会と責任ある議論を行い、不断の検証と見直しを行いながら遂行する」という対応方針のみを閣議決定した。

 今回のエネルギー戦略には、経済界や原発立地自治体が反発し、原子力協定を結んでいる米国も強い懸念を示している。

 閣議前日の18日には、経団連、日本商工会議所、経済同友会の財界トップ3人が共同で緊急記者会見を開き、「原発ゼロ」の撤回を政府に求めた。

 経済3団体の長がそろって政府に注文をつける異例の対応をとったのは、「原発ゼロ」では電気料金が2倍に跳ね上がり、産業空洞化や大量の雇用喪失が避けられないという危機感からだ。

 太陽光や風力など再生可能エネルギーの普及をはじめ、原発の代替電源を確保するメドは立っておらず、電力の安定供給が揺らぐ恐れもある。

 こうした懸念に配慮し、政府がエネルギー戦略をそのまま閣議決定しなかったのは当然である。

 ただ、古川国家戦略相は記者会見で「戦略の決定内容を変えたものではない」と説明した。「原発ゼロ」の方針を堅持しているともとれる発言は問題だ。

 経済界が猛反発したままでは、エネルギー戦略を円滑に推進できるはずがない。政府は、経済界の意見に真摯(しんし)に耳を傾け、関係修復を急ぐべきである。

 エネルギー政策は、目先の選挙目当てではなく、日本の将来を見据えた対応が求められる。

 自民党総裁選の全候補が、「原発ゼロ」の方針を打ち出すことに慎重な見解を示しているのは、妥当と言えよう。

 一方、民主党代表選の論戦で野田首相は、「(原発ゼロは)国民の覚悟だ。それを踏まえて政府も覚悟を決めた」と述べた。

 だが、「原発ゼロ」に伴う失業や貧困のリスクを理解し、苦難を受け入れる覚悟を固めている国民がどれほどいるだろうか。

 国策選択の責任を、国民の「覚悟」に丸投げするのは誤りだ。

2012年9月20日01時21分  読売新聞)

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東京本社発行の最終版から掲載しています。

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