HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 39830 Content-Type: text/html ETag: "9dd66c-23e7-4690eb80" Cache-Control: max-age=5 Expires: Thu, 20 Sep 2012 02:21:58 GMT Date: Thu, 20 Sep 2012 02:21:53 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:天声人語
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天声人語

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2012年9月20日(木)付

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 あいまいな約束を婉曲(えんきょく)な拒否に使うのは、人との関係をざらつかせない知恵だ。「食事でもどう?」と誘われ、「ええ、そのうち」と上手にしのぐ。若い人たちも友達関係には心を砕くようで、いまどきは「微妙」という語を使うそうだ▼「映画に行かない?」「びみょー」。留保のようでいて、やんわりと否定のニュアンスを伝えるらしい。若者のこうした言葉づかいを、井上ひさしさんが「曖昧模糊語(あいまいもこご)」と呼んでいたのを思い出す▼野田政権が打ち出したばかりの「2030年代に原発ゼロ」が、びみょーになってきた。ゼロ戦略の閣議決定が見送られたからだ。今後のエネルギー政策に関する方針のみ決定したが、原発ゼロの表現はない。目標は「あいまいな約束」に格落ちである▼玉虫色の方針は短文で、官僚的修辞の「霞が関文学」そのものだ。「国民の理解を得つつ、柔軟性を持って、不断の検証と見直しを行い……」。それぞれの立場で読みたいように読める。原発ゼロに反対する経団連の米倉会長は「一応は回避できたのかと思う」と語ったそうだ▼脱原発の世論は膨らんでいる。だが、こちらを立てればあちらから睨(にら)まれるのが民主党は苦手なようだ。鳩山元首相が典型だった。みんなにいい顔をしようとして、行き詰まって内閣が倒れた▼聞けば野田首相は、谷垣自民党総裁と交わした「近いうち」の衆院解散も、びみょーらしい。約束の是非はおいて、どうにも政治が陰(いん)にこもる。「信」はしおれるばかりである。

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