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17日間の祭典が終わった。成熟した大都市でどう五輪を営むか。ロンドンは、いくつかの試みを見せてくれた。自国の金メダルが続いて盛り上がったとはいえ、それでも英国の人たちは[記事全文]
大きな政府か、小さな政府か。富裕層への増税か、財政削減か――。11月の米大統領選に向け、民主、共和両陣営の争点が明確になってきた。経済が低迷し、唯[記事全文]
17日間の祭典が終わった。成熟した大都市でどう五輪を営むか。ロンドンは、いくつかの試みを見せてくれた。
自国の金メダルが続いて盛り上がったとはいえ、それでも英国の人たちは、抑制のきいた雰囲気のなかで大会を見守った。他国にも惜しみなく声援をおくり、試合を楽しむ。見る側のフェアプレーが行き届いていた。
それが、世界中から集まった約1万人の選手にも、見る側にも快適だったと感じさせた要因のひとつだろう。
閉会式の日に、国際オリンピック委員会(IOC)のロゲ会長は「ロンドンは多くの部分で五輪をよみがえらせた」と評価した。その例として、主役である選手を第一に考えた運営や、7万人ものボランティアの温かい歓迎ぶりをあげた。
IOCに入る全204カ国・地域の選手が集まった。サウジアラビア、カタール、ブルネイから初めて女子選手が参加し、26競技すべてで女子種目が競われた画期的な大会だった。
柔道78キロ超級に出たサウジアラビアのウォジダン・シャハルハニさん(16)は、頭に巻くヘジャブの代わりに水泳帽のようなものをかぶって畳の上に立った。1回戦で敗れたが「これが新たな時代の幕開けになってほしい」と言葉を残した。
五輪はこれまで、開催地が経済力などを内外に見せつける場だった。4年前の北京五輪はまさに国威発揚の機会だった。
ロンドンはあり方を考えた。地元組織委員会が掲げてきたのは、持続可能性と将来への遺産だ。既にある施設をできるだけ活用し、34競技場のうち新しいのは九つにとどめた。
8万人収容のメーン競技場の壁や骨組みなど素材の3割は、ほかの建物から使いまわした。椅子は取り外し可能だ。月末にパラリンピックを開いた後に、2万5千席に縮小し、余る座席はほかの施設でも使う。
五輪公園に今後、学校や駅が造られ、20年をかけて約1万戸の住宅が整備される。祭典で使ったものを次の世代に生かすとりくみが、今後も続く。
日本代表は、アテネ五輪を上まわる38個のメダルをとった。女子サッカーをはじめ、幅広い種目で活躍した。柔道は男子が初めて金メダルを逃した。それも、世界的なスポーツとして定着したためと考えれば、悪いことばかりではない。
平和の中でしかまっとうできない五輪は、その時代の精神性を示す。巨費と熱狂だけでない共感をどう形作るか。これからの開催都市の力が試される。
大きな政府か、小さな政府か。富裕層への増税か、財政削減か――。
11月の米大統領選に向け、民主、共和両陣営の争点が明確になってきた。
経済が低迷し、唯一の超大国という自信を失いつつある米国をどこへ導くのか。両陣営の主張は大きく異なる。論戦の行方を見守りたい。
共和党の大統領候補となるミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事が、徹底した財政削減論者のポール・ライアン下院予算委員長(42)を副大統領候補に選んだ。富裕層増税を掲げる現職の民主党ペアとの路線の違いを際だたせるねらいだ。
ライアン氏は若手の財政通として知られる。予算委員長として、政府案に比べて歳出を10年間で5兆ドル(約390兆円)以上減らす財政削減策をまとめるなど、オバマ政権との対決路線を引っ張ってきた。
小さな政府を志向する財政保守の草の根運動「茶会(ティーパーティー)」の受けもいい。
保守層に人気のあるライアン氏と組むことで、一気に攻めの姿勢に転じる作戦だ。
米国経済は、失業率が8%台で高止まりするなどオバマ政権にとって厳しい情勢が続く。にもかかわらず、ロムニー氏の選挙運動は盛り上がりを欠き、支持も広がっていなかった。
ただ、穏健保守のロムニー氏にとって、ライアン氏の起用は一種の「かけ」でもある。
ライアン氏の財政削減策には、高齢者向け医療保険費の大幅削減など、中間層にとっても抵抗が強い内容が含まれる。これを嫌って穏健な支持層が離れる恐れもある。
民主党は早速、「歳出削減は富裕層減税のためで、中間層には増税になる」「高齢者は大幅負担増になる」と批判し、揺さぶりをかけている。
一方、外交・安全保障面ではロムニー、ライアン両氏ともに目立った実績はない。
オバマ氏は、国際テロ組織アルカイダを率いたオサマ・ビンラディン容疑者の殺害に成功したことなどを実績としてアピールする。
これに対し、ロムニー氏はこれまでのところ、イランの核問題や対中国政策などで強硬な姿勢が目立つ。
陣営にはブッシュ前政権を支えたタカ派が外交ブレーンに入っており、米国の単独行動主義が再び顔を出すのかどうかが気がかりなところだ。
対日政策については、ほとんど語っていない。選挙戦の中で明らかにしてほしい。