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食料自給率 目標に拘泥せず農業改革を(8月13日付・読売社説)

 食料自給率を、農業予算の確保や貿易自由化への反対を正当化する材料にすべきではない。

 農林水産省が公表した2011年度の食料自給率は39%となり、2年連続で40%を割り込んだ。

 食料自給率は、消費する食料のうち、国産で賄っている割合だ。農水省は、食物のカロリーを基に算出した自給率を重視しているが、この数値には問題が多い。

 例えば、国内で育てられた牛や豚の肉でも、餌が輸入品なら国産とはみなされない。飼料を大量輸入している日本では、畜産物の自給率はおのずと低くなる。

 野菜や果実は国産比率が高いが、カロリーが低いため、自給率の上昇にはあまり貢献しない。

 カロリー基準の自給率が長期低落しているのは、コメ主体から食肉などへ日本人の食生活が変化したことが大きな要因と言える。

 生産額を基準に算出すると、11年度の自給率は66%になる。

 農水省や農業団体は、カロリー基準の自給率低下を、ことさらに取り上げ、危機感を強調する。環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加に反対する根拠にも掲げている。

 だが、自給率の高低が農業の実力を示しているとは言い難い。

 日本の畜産や野菜などは、高品質やブランド化に成功し、産業としての自立を目指す農業改革のカギを握る重要分野だ。

 にもかかわらず、自給率を高める観点からは重視されず、飼料用米、大豆、麦などの生産拡大が優先課題とされている。

 政府は、20年度までにカロリー基準の自給率を50%に引き上げる目標を閣議決定している。

 世界的な食料危機への備えは必要だとしても、自給率向上を食料政策の柱にするのは疑問だ。

 主要国で、日本流の自給率目標を掲げているのは、韓国など、ごく一部に過ぎない。

 食料安全保障上、問われるのは、国産と輸入を組み合わせた供給力をどう確保するかである。

 農業生産の基盤である農地を確保し、耕作放棄地をこれ以上、拡大させてはならない。農業を支える担い手育成も急務である。

 海外では、複数の輸入先と安定した関係を維持し、調達リスクの分散を図りたい。備蓄も重要だ。コストのかかる国家備蓄だけでなく、生産地、流通、家庭などで総合的に取り組むべきだろう。

 農水省は、農業団体の代弁者とならず、大局的観点から農業改革を進めることが重要である。

2012年8月13日01時17分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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