HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 53921 Content-Type: text/html ETag: "1000b7-1ecb-4c6ebc26ced72" Expires: Fri, 10 Aug 2012 20:23:13 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 10 Aug 2012 20:23:13 GMT Connection: close 一体改革法成立 財政健全化へ歴史的な一歩だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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一体改革法成立 財政健全化へ歴史的な一歩だ(8月11日付・読売社説)

 ◆首相の「国益優先」を支持する◆

 借金体質の国家財政を健全化するという長年の懸案の解決に向けて、歴史的な一歩である。

 消費税率引き上げを柱とする社会保障・税一体改革関連法が参院本会議で、民主、自民、公明3党などの賛成多数で可決、成立した。

 審議に200時間以上をかけ、圧倒的多数の賛成で成立させた。高く評価したい。先送りを続けてきた政治に転機をもたらすことを期待する。

 ◆消費増税に共同の責任◆

 野田首相は法成立後の記者会見の冒頭、民主党政権公約(マニフェスト)に言及し、「消費税引き上げを記載していなかったことを深くおわびしたい」と述べた。

 国民に負担を求める改革は緒に就いたばかりだ。真摯(しんし)な姿勢で国民の理解を広げる必要がある。

 消費税率引き上げ法の成立によって、現行5%の税率は2014年4月に8%、15年10月に10%へと段階的に引き上げられる。

 それまでに衆院選と参院選が確実に行われる。

 消費増税の是非が争点になるだろう。選挙の結果、政権が代わり、反増税の勢力が台頭しようとも、民自公3党は「消費税10%」の実現まで責任を共有するべきである。

 自民党の谷垣総裁は、3党合意には、消費税引き上げの環境を整えるための経済対策も含まれるとの見解を示している。

 世界経済が不安定さを増す中、日本の国債が暴落する事態は回避しなければならない。財政再建へ確かな道筋をつけ、国債の信認を高めていくことが肝要である。

 増税に伴う低所得者対策については、年末の13年度税制改正に向けた議論で詰めることになる。

 食料品などの消費税を低くする軽減税率は8%への引き上げ時に導入すべきだ。活字文化と民主主義を守るため、新聞や書籍への適用も検討しなければならない。

 社会保障制度改革は、着実に前進する。総合的な子育て支援策は、高齢者向けに偏っている社会保障政策と財源を全世代型に再構築するものだ。年金制度も、パート労働者への厚生年金適用拡大など、懸案がかなり改善に向かう。

 「増税先行」の批判は当たらない。3党は社会保障制度改革国民会議を速やかに発足させ、中長期的な制度改革の議論を始めるべきだ。今回見送った給付減などによる効率化も欠かせない。

 ◆党首会談合意を大事に◆

 極めて困難と見られた一体改革関連法が成立したのは、まず、野田首相が「政治生命を懸ける」覚悟で取り組んだからだ。最後は、「近いうちに」という曖昧な表現ながら、谷垣氏と事実上の「話し合い解散」でも合意した。

 この間、民主党マニフェストの破綻が(あら)わになり、法案の衆院通過時に党は分裂した。「野田降ろし」も表面化している。

 首相は、大きな犠牲を払いながら、ぶれずに国益優先の判断を重ねた。その姿勢は評価できる。

 参院での法案採決時には民主党の6議員が反対票を投じた。速やかに処分すべきだ。党首としての指導力を強めることになろう。

 衆参ねじれ国会の下、自民、公明両党の役割は大きかった。

 谷垣氏は野党第1党党首として政府・与党に協力するという重い決断を下した。野田、谷垣両氏のコンビでなければ今回の合意は実現しなかっただろう。

 民自公3党は、日本の政治をさらに前に動かすために連携を維持し、与野党の垣根を超えて課題解決に取り組んでもらいたい。

 ◆格差是正が解散の前提◆

 問題なのは、野田首相が自公両党に「近いうちに国民に信を問う」と、早期解散を約束したことに関し、輿石幹事長がこだわる必要はないと発言したことである。

 輿石氏は、首相や谷垣氏が9月に迎える党首選で再選されない場合には、3党合意は無効になるとの見方も示した。

 谷垣氏が、この発言に「政党政治が何たるかを心得ていない。厳しく糾弾しなければならない」と激怒し、民主党との対決姿勢を強めたのも無理はない。

 首相の意に沿わず、自公両党との合意を軽んじるかのような輿石氏の言動は目に余る。

 衆院解散・総選挙の環境を整えるには選挙制度改革が不可欠だ。最高裁は現在の「1票の格差」を「違憲状態」と判断している。

 国会の怠慢で、格差是正措置を講じずに衆院選に踏み切れば、憲法違反として選挙無効の判決が出る可能性も否めない。

 民自公3党は、小選挙区の「0増5減」を先行実施し、格差を是正することが急務である。

2012年8月11日01時22分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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