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天声人語

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2012年8月11日(土)付

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 植物図鑑を書き換えたい。ナデシコはもう花の名を超えている。〔日本原産の多年草。厳しい環境に強く、夏の早朝に銀色の大輪をつける。花言葉=明るい忍耐〕。花色はもどかしいけれど、女子サッカーの悲願がロンドンで咲いた▼ブラジル、フランスとの苦闘を制し、はい上がったピッチに、宿敵が待つ。最上の舞台で、最良の仲間と、最強の相手にぶつかる幸せ。代表歴が18年を超す沢穂希(ほまれ)選手は、「最高の夏」を口にした▼8万人を集めた聖地、ウェンブリースタジアム。五輪3連覇を目ざす米国に、攻守とも引けを取らなかった。悔しさと、手にした自信の大きさを、八分咲きの笑顔が語る▼頂点を見据えれば、決勝までの6試合はひと続きのゲームといえた。批判もあった1次リーグでの引き分け狙いは通過点だ。佐々木則夫(のりお)監督が「私の指示です」と記者団に認めると、宮間あや主将は「すべてを背負ってくれたノリさんの思いを無駄にしない」。いいチームだった▼将来をかけた舞台でもあった。W杯優勝で沸いた人気も、注目の五輪でしくじれば泡と消え、不遇に戻りかねない。重圧に耐えてのメダル一つで、どれほどの少女がボールを追い始めることか。中にきっと「明日の沢」がいる。種(たね)は確かにまかれた▼おめでとうの前に、ありがとう。思えば震災以降、彼女たちの活躍がなければ、日本はもっと沈んでいただろう。花の名を元気の素(もと)にしてしまうスポーツの底力を思う。なでしこ、今はまぶしい愛称である。


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