HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 10 Aug 2012 03:21:13 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:女子レスリング 常に高みを目指す姿勢:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

女子レスリング 常に高みを目指す姿勢

 練り上げられた強さを存分に発揮した。早くも二つの金メダルを獲得した日本の女子レスリング。歴史の浅い競技を先頭に立って盛り上げ、発展させてきた先駆者にふさわしい勝利だ。

 連日のメダルラッシュながら金は二個にとどまっていたロンドン五輪の日本勢。それが一夜で倍になった。48キロ級の小原日登美、63キロ級の伊調馨の両選手。ともにほとんど危なげのない優勝である。伊調選手の勝利はすべての競技を通じて日本女子初のオリンピック三連覇という偉業ともなった。

 小原選手は世界選手権八回優勝の実績を持ちながら、階級の少ないオリンピックにはなかなか出られなかった。いったん引退してからの復帰、階級変更という苦闘の末に三十一歳で五輪に初出場。決勝ではリードされる展開になりながら、あわてずに粘り強く戦い、逆転で栄冠をつかんだ。

 伊調選手は挑戦者たちをまったく寄せつけない圧勝だった。力みのない、流れるような動きは、頂点のマットでも際立っていた。しかも過去二回の五輪参戦からいっそう攻守の幅を広げての完勝である。北京後は「レスリングそのものを追求したい」と語り、男子と練習するなどして新たな境地を目指してきた。あくなき努力がみごとに生きた結果といえる。

 小原選手が示したのは、これほどの強豪が五輪初出場という伝統の厚みと、初の大舞台でも力を出し尽くすことのできる強靱(きょうじん)な精神力だった。また伊調選手は、五輪連覇を果たしながらも、そこに満足せず、ひたすら進化を求めていく第一人者ならではの姿勢を見せてくれた。いずれも、女子レスリング王国にふさわしい戦いだったと言っていい。

 八年前のアテネ大会で五輪競技となった女子レスリング。その新競技を草創期からもり立て、中心となって五輪参加を推進してきたのは日本だった。まだレスリング界内部でも注目されなかった時代から地道に選手を育て、国際的にも大きな存在感を示してきたのが、アテネ以来の好成績を生んだのである。そして自ら道を切り開いてきた進取の姿勢は変わらず、ここでも大輪の花を咲かせたというわけだ。

 残る戦いにも快挙の予感がある。今後も高みを目指し続けてほしい。世界一になるための道筋を明快に示している女子レスリングの足どりには、誰にも、どの分野でも学ぶところが多いようだ。

 

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