HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 09 Aug 2012 00:21:10 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:五輪と社会保障 世界にみせた英国流:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

五輪と社会保障 世界にみせた英国流

 終盤戦に入ったロンドン五輪の開催地・英国は、無料の医療制度が整っていることで知られる。それは開会式でも紹介された。社会保障制度を世界にアピールした背景にあるものは何か。

 開会式の演出には意表を突かれた。会場に白いベッドが次々と現れ、子どもたちや医師、看護師らが踊る。そして光り輝く「NHS」という文字が浮かび上がった。

 NHS(国家医療制度)は一九四八年から始まった。税金で運営され、無料で医療を受けられる。

 英国は「揺りかごから墓場まで」の手厚い社会保障を誇る。NHSは福祉国家として核になる制度だ。自国の社会保障制度を五輪で紹介する演出は英国らしかった。

 選手村の医療施設も閉会後はこの制度の下で地域の病院になる。

 ただ、国民に不満はある。受診は、かかりつけ医に行き必要に応じて専門的な病院に行く原則だ。自由に医療機関を選べない。検査や手術まで長く待たされる。

 制度の拡充などで重くなる財政負担も課題だ。民間活用によるコスト削減が検討されているが、サービスの低下が懸念されている。

 それでも五輪の開会式に登場するのは、この制度が国民に根付いているからだろう。

 日本では、社会保障と税の一体改革が議論されていた。制度の大きな改革論議が期待されたが、消費税増税が先行され改革論議は先送りされた。とても「一体」改革とはいえない。

 五輪では女性の活躍が目立つ。初めて全参加国・地域から女子選手が参加、全競技が男女とも行われる。「女性の大会」といえる。

 日本選手団は女子選手数が男子を上回っている。塚原光男総監督は大会前から「女子が鍵を握る」と期待していた。女性はメダル獲得の原動力になっている。今や各国は女子選手の強化に真剣だ。

 社会でも経済を活性化し保険料や税収で社会保障制度を支えるには、女性の労働力が欠かせない。

 政府は女性の活用を進める行動計画「働くなでしこ大作戦」をまとめた。女性管理職登用や男性の意識改革に取り組む。方向性はいいが、掛け声だけの印象だ。働く女性を支える育児支援と合わせ長時間労働の是正や非正規の正社員化などを確実に進めるべきだ。

 日本は世界最速で少子高齢化社会を迎えている。社会保障をどう強化できるか、五輪同様に世界が注目している。政府は、その抜本改革から逃げてはならない。

 

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