HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 52082 Content-Type: text/html ETag: "15b350d-3ad5-65398240" Cache-Control: max-age=1 Expires: Wed, 08 Aug 2012 23:21:03 GMT Date: Wed, 08 Aug 2012 23:21:02 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:社説
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2012年8月9日(木)付

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一体改革成立へ―解散前にやるべきこと

野田首相がきのう、自民党の谷垣総裁、公明党の山口代表と会談し、社会保障と税の一体改革関連法案を成立させ、「近いうちに国民に信を問う」ことで合意した。改革の頓挫という最悪[記事全文]

原発比率ゼロ―大阪の案を見てみたい

どうすれば2030年に原発の比率をゼロにできるか。橋下徹大阪市長のブレーンでつくる大阪府市エネルギー戦略会議が提言づくりに乗り出す。橋下市長は「(原発)反対のための反対[記事全文]

一体改革成立へ―解散前にやるべきこと

 野田首相がきのう、自民党の谷垣総裁、公明党の山口代表と会談し、社会保障と税の一体改革関連法案を成立させ、「近いうちに国民に信を問う」ことで合意した。

 改革の頓挫という最悪の事態だけは避けられた。

 それにしても、ここ数日の衆院解散の時期をめぐる党利党略むき出しの政争にはうんざりさせられた。

 解散の判断は、首相の専権事項だ。重要法案を人質に取る形でその時期を確約させようという自民党のやり方は筋違いだが、両党の関係がここまでこじれてしまった以上、トップ会談での打開しかなかった。

 3党首の合意にはあいまいな部分もあるが、解散・総選挙への流れは強まるだろう。

 だが、その前に国会にはやるべき仕事がまだ残っている。

 まずは、最高裁から「違憲状態」と指摘されている衆院の一票の格差の是正だ。

 民主党と自民党は、それぞれ衆院に法案を出している。双方が一致している小選挙区定数の「0増5減」で法案を成立させ、早急に選挙区の区割りを決める必要がある。

 今年度予算の歳入の4割を占める赤字国債を発行するための法案や、9月に発足が予定されている原子力規制委の人事案についても速やかに結論を出さねばならない。

 ここ数日の騒動で、この国の政治家が、いったい何のために胸にバッジをつけているのか、多くの国民は首をかしげたことだろう。

 そもそも、消費増税と社会保障の立て直しは、民主、自民、公明の3党がその必要性で一致し、合意したものだ。衆参両院で200時間を超える審議を重ね、成立目前だった。

 それなのに、法案の中身とは関係なく廃案の危機に陥ったのは、まったく理解に苦しむ。

 今回の騒動の本質は、「いま選挙をやれば勝てる」と踏んだ自民党と「負け」をおそれた民主党の利害のぶつかりあいだ。

 政治が権力闘争であることは否定しない。だが、そのためなら政党間で合意した政策を葬ることもいとわないという態度は、あまりに手前勝手だ。

 有権者の目には、この国の将来よりも、自分たちの議席や政権奪取の方が大事なのだとしか映らないだろう。

 今回の改革は、これからの社会保障改革や財政再建のとば口に過ぎない。

 今後も国民に負担を求めねばならないときに、政治が信頼を失うことの代償は大きい。

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原発比率ゼロ―大阪の案を見てみたい

 どうすれば2030年に原発の比率をゼロにできるか。橋下徹大阪市長のブレーンでつくる大阪府市エネルギー戦略会議が提言づくりに乗り出す。

 橋下市長は「(原発)反対のための反対はだめ」という。ならば理想を並べるのではなく、実際に社会を変える力となるような案を期待する。

 政府は、30年の原発割合を0%、15%、20〜25%とする三つの選択肢を示し、意見聴取会などを通じてエネルギー政策を決める作業を進めている。

 電力の大消費地の自治体が、国のエネルギー政策に「対案」をぶつけることは意味がある。0%を前提にする大阪案が出れば議論の幅が広がり、課題や論点も見えてこよう。

 橋下市長が代表をつとめる大阪維新の会は次期衆院選に向けた政策集「維新八策」に、「脱原発依存」を掲げる。国政をめざす維新の政策に直結するという点でも意味は大きい。

 出す以上、中身が抽象的では困る。

 節電を進めつつ、原発に代わる電力をどう確保するか。

 府内では太陽光や風力など複数の分散型電源を家庭やオフィスで使う「スマートコミュニティー」とよばれる町づくりを計画する企業もある。経済活動に支障を与えず脱原発社会を実現する工夫は、都市計画の段階から考えていくべきだろう。

 停電時のバックアップ態勢を整えるのも自治体の責任だ。病院や福祉施設には自家発電、蓄電設備の備えもいる。

 原発依存率が50%超だった関西が0%に挑むのだから、今後約20年のスケジュールを数値をあげて描いてほしい。

 関西電力の原発は、全11基のうち7基が19年末までに稼働から40年を超える。「40年廃炉」のルールをしっかりと守っていくには代替電源が不可欠だ。

 脱原発は大阪が直面する切実な問題なのである。時代を先取りする施策が打ち出せれば、他都市にとっても参考になる。

 気がかりなのは橋下市長の決意がどこまで本物か、だ。

 府市エネルギー戦略会議はこれまで夏の電力需給を検証したり、大飯原発の再稼働に前提条件を示したりするなど、独自の視点で問題提起してきた。

 しかし、大飯原発の再稼働では、橋下市長が強く反対しながら途中で容認に立場をかえた。原発ぬきで夏を乗り切る策を議論していた戦略会議は、はしごをはずされた。

 再び言葉倒れに終わるなら、市長としても、維新の会代表としても信用を落とすだろう。

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