HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 38004 Content-Type: text/html ETag: "72afdf-20b1-11432740" Cache-Control: max-age=3 Expires: Tue, 07 Aug 2012 20:21:12 GMT Date: Tue, 07 Aug 2012 20:21:09 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:天声人語
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天声人語

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2012年8月8日(水)付

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 ロンドン発の映像は夕刻から生(なま)に切り替わる。仕事を終えてテレビに向き合い、そのまま未明までというスポーツ好きも多かろう。次は日中、高校野球ファンがそわそわする番である。「夏の甲子園」が始まる▼週刊朝日の増刊号に、興味深いデータがある。平成以降の23大会を集計すると、8回裏の得点が最も多いというのだ。次が9回表。終盤もつれるのは、疲れのせいだけではない。勝ちを急いでの四球や失策、勢いづいてのつるべ打ちなど、若さゆえの「心の振れ幅」が数字に透ける▼晴れの舞台には女神もいれば魔物も棲(す)み、両者が組んず解(ほぐ)れつとなるのが8回から9回らしい。負けたら終わりの戦いは、思わぬ頑張りを球児から引き出す。最後まで目が離せない理由だ▼五輪でも同世代が輝いた。400メートル個人メドレーで銅メダルの萩野公介さん(17)は「すごい夏休みでした」と語る。怪物フェルプス選手らとの戦いは、何ものにも代えがたいはずだ。体操の寺本明日香(あすか)さん(16)は大舞台にも動じない演技で、次代のエースに躍り出た▼伸びるのは勝者だけではない。真剣勝負は敗者も大きくする。手加減を知らぬこの季節、まぶしい光も、濃い影も、伸びしろが大きい若者にはすてきな経験である▼山あり谷ありの人生こそ、筋書きのないドラマといえる。いま6回裏あたりの当方、心躍る攻防もないまま、きのう抽選のジャンボ宝くじはまた外れた。せめて寝不足の目をこすり、若々しい一投一打に精気をもらうとする。


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