HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 52354 Content-Type: text/html ETag: "50e2a-1799-4c672f8eae69c" Expires: Sat, 04 Aug 2012 22:21:56 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 04 Aug 2012 22:21:56 GMT Connection: close 自動車海外生産 成長市場の攻略が勝ち抜く道 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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自動車海外生産 成長市場の攻略が勝ち抜く道(8月5日付・読売社説)

 超円高で輸出環境が厳しい中、日本の自動車メーカーが海外生産を拡大している。新興国などの成長市場の攻略が、競争を勝ち抜く道だろう。

 今年上半期の乗用車8社の海外生産台数は、合計で前年同期比28%増の795万台に達しトヨタ自動車、日産自動車、ホンダなどが過去最高を記録した。

 各社が北米、中国、メキシコなどで増産した結果、世界販売に拍車がかかり、さらに生産を増やす好循環を生んでいるようだ。

 トヨタは今年上半期の世界販売台数で、米ゼネラル・モーターズ(GM)を抜き、2年ぶりに世界1位に返り咲いた。成長市場を狙う戦略が功を奏したと言える。

 各社が海外生産を増強する背景には、歴史的な超円高が進み、輸出競争力が低下している事情がある。ライバルの欧米企業などに負けないよう、現地生産で為替リスクを回避することは妥当だ。

 自動車各社の今期の想定為替レートは1ドル=80円、1ユーロ=105円程度が多い。最近は、それ以上の超円高水準が続いており、収益はさらに圧迫されかねない。

 トヨタは近く、ブラジル新工場を稼働させる。日産、三菱自動車なども海外生産を拡大したり、国内から海外に生産移管したりしている。アジアなど新興国向けの低価格車の投入など、海外シフトは一段と加速するに違いない。

 懸念されるのは、そうした海外展開に伴い、国内で空洞化がより深刻になることだ。自動車業界は部品企業などすそ野が広い。空洞化で雇用者数が大幅に減り、もたついている景気回復に打撃を与えることに要警戒である。

 トヨタの豊田章男社長が、「国内生産300万台の死守」を強調している点は評価できる。各社とも、主力車などの基幹工場や研究開発部門を国内に残し、生産基盤の維持に努めてほしい。

 製造業の苦境は、自動車業界だけではない。大規模な人員削減を計画中のソニーやシャープなど、電機業界の状況も厳しい。

 超円高に加え、電力不足や経済連携協定(EPA)の出遅れ、高い法人税率などが、産業界全体の重荷になっている。

 政府は危機感を強め、支援策に取り組む必要がある。

 まず、超円高を阻止する為替介入を検討すべきだ。電力不足解消へ、原子力発電所の再稼働を急ぐことも不可欠だ。日本は環太平洋経済連携協定(TPP)への交渉参加を決断し、自由貿易の推進を追い風にしなければならない。

2012年8月5日01時15分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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