HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 52194 Content-Type: text/html ETag: "15c2cb-179d-4c65f6d8899fa" Expires: Fri, 03 Aug 2012 22:21:09 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 03 Aug 2012 22:21:09 GMT Connection: close エネルギー戦略 現実的な電源構成案に改めよ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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エネルギー戦略 現実的な電源構成案に改めよ(8月4日付・読売社説)

 政府のエネルギー戦略の選択肢は、実現性に疑問があるうえに、説明不足が否めない。問題点を改善すべきである。

 政府は6月、2030年の原子力発電の比率を「0%」「15%」「20〜25%」とする三つの選択肢を示した。

 現行のエネルギー基本計画を見直すたたき台で、いずれも原発を減らし、太陽光など再生可能エネルギーや火力発電で補う内容だ。政府は意見聴取会など「国民的議論」を経て、今月中に結論を出すとしている。

 脱原発を図る「0%」から、中長期的に原発を活用する「20〜25%」まで、選択の幅は広いように見える。だが、すべての選択肢が現実味に乏しいという、致命的な欠点を抱えている。

 再生エネの見積もりが明らかに過大である。水力を含め約10%に過ぎない再生エネについて、原発ゼロ案は35%に、原発を残す2案も25〜30%に増やす想定だ。

 太陽光を20倍に拡大するため、1000万戸以上の住宅に太陽光パネルを設置するという。この計画を実現する道筋は不透明だ。

 再生エネの買い取り制度は7月にスタートしたが、ドイツのように電気料金が急騰する副作用も懸念される。再生エネの目標は現実的な水準に改めるべきだろう。

 国民生活への影響に関する説明も物足りない。政府は再生エネの拡大などに伴い、標準的な家庭の電気代が最大月1万円ほど増えるといった試算を示している。

 しかし、負担増はこれにとどまらないのではないか。生産など経済全体の電力コストが上がり、物価上昇や企業業績の悪化を招くと考えられるからだ。リストラの拡大も予想される。

 経団連が政府の審議会のデータをもとに試算したところ、原発ゼロのケースでは、現在約300万人の失業者が200万人増え、勤労者世帯の所得は年60万円近く減る。国民生活に大打撃となる。

 国民が減原発や省エネのマイナス面を正確に把握し、望ましい電源構成を決めることが重要だ。政府は判断材料となる情報を、わかりやすく提供すべきである。

 三つの選択肢が前提とする経済成長率が実質1%前後と、政府の日本再生戦略で目指す2%成長を下回っている点も不可解だ。

 古川国家戦略相は「選択肢の想定と成長戦略は直接関係しない」と釈明するが、説得力に欠ける。エネルギー戦略は、成長への重要な柱であることを踏まえ、三つの選択肢を再検討すべきである。

2012年8月4日01時57分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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