HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 01 Aug 2012 21:22:33 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞: 戦時中、戦意高揚を図る看板が街の中に立っていたという。「…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

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 戦時中、戦意高揚を図る看板が街の中に立っていたという。「贅沢(ぜいたく)は敵だ」のスローガンに、反骨精神のある人が「敵」の前に「素」を書き加え、「贅沢は素敵(すてき)だ」と変えたエピソードは有名だ▼作家の半藤一利さんは、警官が激怒しているのを見たことがあるそうだ。もし落書きが見つかったら、治安維持法違反容疑などでしょっぴかれ、厳しい取り調べを受けただろう▼内戦の死者が二万人を超えたとされるシリア。反政府デモの発端となった南部ダルアーで起きた弾圧事件のきっかけは落書きだった。弾圧の現場を目撃し、ヨルダンに逃れたシリア人の難民の男性が、本紙の寺岡秀樹記者に語った証言は衝撃的だった▼民主化運動「アラブの春」が盛り上がっていた昨年三月、治安当局に拘束された男子中学生らの大半が帰ってこなかった。高校の校舎の壁に「アサド、次はお前の番だ」と落書きしたことが原因だ▼少年たちを取り戻そうと、イスラム教の礼拝日に、宗教指導者がモスクに集まった約千人に抗議を呼び掛けると、監視していた数十人の治安当局者が乱入した。発砲で多数の死傷者が出たという。この後、反政府運動はシリア全土に広がる▼子どもの落書きすら許さず、国民に銃を向ける独裁者に立ち向かうには、どれだけの勇気と怒りを燃やし続けなくてはならないのか。終わりの見えない内戦に思う。

 

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