HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 51617 Content-Type: text/html ETag: "100de5-177b-4c62276e5b8ac" Expires: Tue, 31 Jul 2012 23:21:10 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 31 Jul 2012 23:21:10 GMT Connection: close 防衛白書 中国軍の活動に警戒を怠るな : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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防衛白書 中国軍の活動に警戒を怠るな(8月1日付・読売社説)

 中国軍の急速な近代化と活動の活発化に対し、自衛隊は警戒・監視活動を着実に強化することが肝要である。

 2012年版防衛白書は中国の軍事動向について、昨年に続き、アジア地域と国際社会の「懸念事項」と明記し、「慎重に分析していく必要がある」と指摘した。当然の認識である。

 中国の国防費は過去5年間で2倍以上、24年間で30倍に急増した。日本の1・6倍超に達し、今後、この差は拡大することが確実だ。50年頃には「米国の対等なライバルになる」との見方もある。

 空母の試験航行、ステルス性を持つ次世代戦闘機の開発に加え、海軍艦船による太平洋進出の常態化や偵察用無人機の飛行訓練なども軽視できない。

 白書は、安全保障問題に関する軍幹部の発言の増加などを踏まえ「共産党指導部との関係が複雑化している」と分析し、「危機管理上の課題」として、中国軍の影響力増大に警戒感を示した。

 中国の軍事力や意思決定プロセスについては、かねて透明性の欠如が指摘されている。引き続き注視することが欠かせない。

 海上・航空自衛隊は近年、南西諸島防衛を重視しているが、中国軍の動きが激しいため、哨戒機などのやり繰りが厳しいという。

 「アジア重視」を鮮明にした米軍との「動的防衛協力」を強化するとともに、海空自の部隊配置や装備を充実させることが急務だ。防衛費の10年連続の減少にも、歯止めをかけるべきである。

 一方で、ここ数年停滞している日中防衛交流を再活性化し、海上事故発生時の部隊間の緊急連絡体制を構築するなど、双方の信頼醸成を図ることが重要だ。

 北朝鮮について、白書は、4月の弾道ミサイル発射の失敗を受けて「今後も同様の発射を行う可能性が高い」と指摘した。

 日本は、米韓両国との軍事情報の共有を拡大し、共同演習を通じて抑止力を高めねばならない。韓国の国内事情で延期されている軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の締結を急ぐ必要がある。

 疑問なのは、白書が1994年以来、北朝鮮の軍事動向に関する評価を「東アジア全域の安全保障にとって重大な不安定要因」とし、一切変更していないことだ。

 この間、2回の核実験や長距離弾道ミサイル発射などが行われ、日本の安全保障環境は格段に厳しくなっている。北朝鮮情勢の変化を適切に反映した評価の表現を工夫しなければなるまい。

2012年8月1日01時13分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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