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天声人語

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2012年8月1日(水)付

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 きょうから8月。この上旬に没後50年を迎える有名故人が何人かいると、物知りの同僚に教わった。まず5日があのマリリン・モンロー。8日は民俗学の柳田国男。そして9日はドイツの作家ヘルマン・ヘッセの命日なのだという▼おお、ヘルマン・ヘッセ――。懐かしい名前はかつて、青春前期の必読書の響きがあった。「車輪の下」「郷愁」「春の嵐」……。ヘッセを読んだことを多感な時期のささやかな記念にしている人もいよう。読書感想文の定番でもあった▼この季節に思い出すのは「青春は美(うる)わし」という短編だ。夏休み、ふるさとに帰った青年が父母や弟妹とひと夏をすごす。昔恋した少女に再会するが愛は実らない。休暇は終わり、青年は夜空に上がる花火を汽車から眺めて故郷を去っていく。詩情ただよう物語である▼流れるように過ぎる夏。青年は言う。「休暇といえば、いつだって前半の方が長いものである」。昔に読んで傍線を引いた覚えがあるのは、宿題をためる癖のゆえだったろう。8月に入ると、もう夏休みの逃げ足は速い▼月刊の文芸春秋が以前、宿題のやり方をタイプに分けていた。先行逃げ切り型は、7月中に全部終わらせて後は左うちわ。まくり型は、尻に火がついてから大車輪。他にコツコツ積み立て型、不提出型というのもあった▼最後のは除いて、どのタイプにせよ、よく遊んで、よく学ぶ夏休みがいい。夏だけではなく、青春の逃げ足もまた速い。そんなふうに文豪ヘッセは説いている。

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