HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 51941 Content-Type: text/html ETag: "cf63b-1745-4c60ef6a5e336" Expires: Mon, 30 Jul 2012 22:21:14 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Mon, 30 Jul 2012 22:21:14 GMT Connection: close 地震の研究 観測強化を防災対策に生かせ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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地震の研究 観測強化を防災対策に生かせ(7月31日付・読売社説)

 国民の生命や財産を守るために、今度こそ、有効な研究を進めたい。

 政府の地震調査研究推進本部(本部長・平野文部科学相)が、地震や津波の調査研究に関する「基本方針」の見直し案をまとめた。

 推進本部は、防災・減災対策の一環として、どこで、どんな地震が起こるかを調査、評価している。基本方針は、その手法や関係府省の分担を定めたものだ。

 見直し案は超巨大地震の発生を前提に、海底に地震計を増設するなど観測網の強化を打ち出した。各地の揺れや津波が、どれほど大きくなるかを、あらかじめ見積もれるようにするのが目的だ。

 速報の予測技術の改良や高度化にも取り組む。東日本大震災では当初、気象庁が津波の高さを低く予報したり、余震の緊急地震速報が誤ったりした。

 マグニチュード9だった大震災の教訓を踏まえれば、妥当な内容と言えよう。

 現行の基本方針は2009年に策定されたが、大震災では、それまでの調査研究の成果をほとんど生かせなかった。

 超巨大地震の発生も、巨大津波の襲来による大規模な被害も、予測されていなかったためだ。全くの「想定外」続出で、基本方針は根底から揺らいでいた。

 調査研究の成果を、地震・津波対策の強化につなげることが重要だ。防災対策の司令塔である中央防災会議は、推進本部と密接に連携すべきである。

 大震災で日本列島の地下の状況が変わり、これが新たな巨大地震を誘発するとの懸念もある。04年のインドネシア・スマトラ島沖地震の後、実際、こうした誘発地震が続発している。

 西日本の太平洋沿岸では、地震や津波の規模が東日本大震災を上回ると言われる南海トラフ巨大地震の発生が心配されている。

 地震の調査研究の充実は待ったなしと言えよう。

 今回の見直し案には、過去の津波の痕跡を各地の沿岸で調べるなど新たな視点も盛り込まれた。だが、ほとんど専門家はいないのが現状だ。人材の育成や体制の整備も忘れてはならない。

 地震は複雑かつ、多様な要因が重なって発生するため、完璧な予測は困難だ。思わぬ場所で思わぬ巨大地震が発生する「想定外」の恐れは常にある。

 新たな基本方針は、そうした限界を専門家が政府内外に丁寧に説明することを求めている。情報発信の工夫も必要だ。

2012年7月31日01時57分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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