HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 52100 Content-Type: text/html ETag: "16848a-17e4-4c60ef6a4c9ab" Expires: Mon, 30 Jul 2012 22:21:10 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Mon, 30 Jul 2012 22:21:10 GMT Connection: close 被災地集団移転 官民の知恵と能力を結集せよ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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被災地集団移転 官民の知恵と能力を結集せよ(7月31日付・読売社説)

 東日本大震災の復興事業は時間との闘いでもある。復興が遅れるほど、故郷を見限り、離れる住民が増えてしまう。

 事業別に工程表を示すことなどで、被災者が将来に希望を持って地元に住み続けるようにすることが大切だ。

 大震災から1年4か月以上を経て、津波被災地での防災集団移転促進事業がようやく動き出す。最も進捗(しんちょく)が見られる宮城県岩沼市の6集落の移転事業で、移転先の宅地造成が8月5日に始まる。

 読売新聞の7月上旬の調査によると、岩手、宮城、福島3県の26市町村で約2万6000戸が集団移転の対象だが、このうち政府の同意を取り付け、事業化が決まったのは22%にとどまっている。

 住民の合意形成に時間を要したり、自治体の技術系職員の不足から移転先の土地確保などの手続きが遅れたりしているためだ。

 昨年度の復興関連予算約15兆円のうち6兆円が未消化なのも、復興事業の遅れを象徴している。

 過去の災害と比べて、今回は被害の規模がはるかに大きい。

 集団移転事業は、新潟県中越地震の際、115戸で約2年を要したのに対し、今回は、その200倍以上が対象になる。

 土地区画整理事業も、阪神大震災では20地区、平均12・8ヘクタールだったのに対し、今回は58地区、平均90ヘクタールに上っている。

 今後、東北の被災地で、膨大な宅地造成や住宅建設の事業が本格化すれば、作業員や資材の確保が困難になり、事業がより長引き、費用も膨らみかねない。

 宅地造成に必要な保安林の開発許可や埋蔵文化財調査などの作業を簡素化するため、規制緩和や指針策定を急ぐことが必要だ。

 東北の沿岸部は、過疎に悩む小規模自治体が少なくない。多額の予算を費やして集団移転しても、新たな過疎地や限界集落を作り出す可能性がある。移転先の将来像をどう描くのか、総合的な対策の検討が求められる。

 集団移転の作業を加速するには自治体の担当職員の数を増やすことが欠かせない。地道ながら、全国の市町村や政府が派遣する応援職員をさらに積み増すことが重要だ。OB職員を積極的に再任用し、派遣してはどうか。

 宮城県東松島市や女川町では、本来は自治体が行う設計・発注業務もゼネコンやコンサルタント会社に委任する設計・施工一括発注方式の町づくり事業を予定している。民間の知恵や能力を最大限活用し、事業を加速させたい。

2012年7月31日01時57分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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