HTTP/1.1 200 OK Date: Sun, 29 Jul 2012 01:22:36 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞: 美しい田園風景にシルクハット姿の一団が姿を見せると、巨大…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

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 美しい田園風景にシルクハット姿の一団が姿を見せると、巨大な煙突がせり上がった。緑の大地ははぎ取られ、溶鉱炉を持つ工場に。歴史絵巻のようなロンドン五輪の開会式に目を奪われた▼産業革命がもたらした光と影。華やかな演出の中に、考えさせる視点があった。大会の運営理念は地球環境を守るサステナビリティー(持続可能性)。その象徴が五輪スタジアムのある公園だ▼産業革命時代から続くロンドン東部の工業地帯は土壌汚染が深刻だった。巨費を投じて汚泥やがれきなど三万トンを撤去し、四千本以上の木と三十万本の水生植物が植えられた。スタジアムの屋根は不要なガス管。五輪後は五万五千人分の客席が取り外され、二万五千人規模の施設に衣替えになる▼ロンドンでの五輪開催は史上最多の三回目である。日本は一九〇八年は不参加、占領下だった四八年は参加はかなわなかった。産業革命の果実を享受し「富国強兵」の道を突き進んだ結果だ▼女性にとっては新たな歴史を刻む大会になった。イスラム教の戒律を理由に女性の参加を認めなかったサウジアラビア、ブルネイ、カタールの三国が女性を派遣し、すべての競技で女子の種目が実施されることに▼カタールとブルネイの二人は、髪を隠すヘジャブ姿で入場行進の旗手も務めた。晴れやかな表情。スポーツが差別の壁を崩した瞬間だった。

 

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