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大学入試問題に非常に多くつかわれる朝日新聞の天声人語。読んだり書きうつしたりすることで、国語や小論文に必要な論理性を身につけることが出来ます。会員登録すると、過去50日間分の天声人語のほか、朝刊で声やオピニオンも読むことができます。
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ロンドン五輪の「ウェンロック」と聞いても、はてな?の人が多いかもしれない。かわいくない、などと不評も聞こえたマスコットの愛称だ。正直、わが印象も右に同じだが、名前の由来を知って見直した▼英国の小さな町の名だという。そこでは19世紀半ばから住民参加の「ウェンロック・オリンピアンゲーム」が開かれていた。その大会をクーベルタン男爵が訪ね見て、触発されて近代五輪の誕生につながったのだという▼つまり「近代五輪発祥の地」は英国にあった。忘れられたような歴史が、マスコットとともに世に知られた。そういえば「参加することに意義がある」という神髄が語られたのも、104年前のロンドン大会だった。それから時は流れ、新しい五輪の一巻が、きょうから英国でつづられる▼開会式を待たず、日本は男女のサッカーで前祝いに酔った。ことに男子は大金星で、サムライが無敵艦隊を沈めた、などとメディアは興奮気味だ。幸先よし。とはいえ竜頭蛇尾という語もあるから油断はなさるな▼今大会は女子ボクシングが加わり、全競技に女子が参加する。さらに、これまで女子の参加がなかったサウジアラビアなどイスラムの3国が禁を解いた。すべての国と地域から女子選手が舞台に立てるのは、画期的なことだ▼第30巻になる五輪物語は、真っ白な表紙とページでドラマを待つ。もちろん筋書きはない。17日間地球の中心となるロンドンで、だれが伝説を作るのか。ねむい目をこすることになる。