HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 26 Jul 2012 03:21:14 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:巨大地震対策 防災、できることから:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

巨大地震対策 防災、できることから

 国の中央防災会議が南海トラフと首都直下の二つの巨大地震に備えるため、当面取り組むべき対策をまとめた。危機感をあおるだけでなく、国民的な議論を高め、日本の「防災力」を強めたい。

 駿河湾から九州沖に延びる海底の溝を震源域とする南海トラフ地震は、東海・東南海・南海の三連動ならば「国難とも言える巨大災害」。首都直下地震により、集積する政治経済の中枢機能がまひすれば「国の存亡にかかわる」。中央防災会議はこうした表現で危機感をあらわにした。

 東日本大震災を教訓に今年三、四月、南海トラフ、首都直下の両地震の想定が相次いで見直された。三十メートルを超える巨大津波、都内の死者九千七百人−など衝撃的なデータが公表された。不安をかき立てた以上、備える対策を示すことは当然の対応だ。

 南海トラフでは最大級の津波に対して住民避難を基本に据え、公共用地を避難路に活用する、津波避難ビルの建ぺい率を緩和する−などを盛り込んだ。高齢者を逃がすため車での避難を例外的に認めた。すぐにでも自治体の津波避難計画に反映させてほしい。

 行政施設や学校、病院の高台移転を求めるなど災害リスクに応じた土地利用計画や、被災前の住宅集団移転にも言及した。手法や財源の裏付けとともに十分な合意形成が必要で、中長期的な課題だ。

 首都直下ではバックアップ機能を明確化した。代替拠点とする札幌、仙台、名古屋、大阪、福岡の五都市に何をどう分けるのか。優先順位も決めておかなければならない。帰宅困難者対策の詳細も確認しておきたい。

 笛吹けど踊らず、とならないためには対策を具体化していく法整備が必要だ。

 東海地震は一九七八年、予知を前提に経済活動を制限する大規模地震対策特別措置法が制定され、静岡県が防災先進県となっていった。東南海・南海には別の特措法があり、法律は連動していない。

 私たちはかねて災害法制の一元化を主張してきた。三十年以内に地震が起こる確率は東海88%、東南海70%、南海60%、首都直下70%。3・11以降、地震活動が活発化しているとされ、法整備に時間的余裕は少ない。

 消費税増税に合わせて、与野党から防災に関する公共事業の拡充論が出始めた。予算の使途には十分な吟味が必要だ。何もハードだけが防災ではない。「命を守る」意識の向上は今すぐにできる。

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo