
HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 53361 Content-Type: text/html ETag: "2f483a-1e23-4c581dd94785a" Expires: Tue, 24 Jul 2012 01:21:10 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 24 Jul 2012 01:21:10 GMT Connection: close
![]() 政府事故調報告 原発の安全向上に教訓生かせ(7月24日付・読売社説)◆「想定外」に備える危機対策を 未曽有の原子力発電所事故の調査結果を教訓とし、政府と電力会社は、再発防止に取り組まねばならない。 東京電力福島第一原発事故に関する政府の事故調査・検証委員会が最終報告書をまとめ、公表した。 国会と東電の各事故調と民間の独立検証委員会が、それぞれ報告書を発表済みだ。四つの報告書が出そろい、事故の原因や経緯、政府や東電の問題点などの解明は一区切りがついた。 だが、事故の全容解明にはまだ時間を要するだろう。今後も調査を継続しながら、危機対策を練り直し、原発の安全性を確保していく必要がある。 ◆地震による損傷を否定 政府事故調は、膨大なデータに基づき事故の技術的な側面を詳細に分析した点が特徴だ。「失敗学」を提唱している畑村洋太郎委員長が、責任追及よりも事実の解明に重点を置いたからだ。 最終報告書は、他の事故調による報告書について、「明らかな事実誤認を前提としているものが多い」と批判している。 例えば、国会事故調は地震で原子炉の重要機能が壊れた可能性を強調したが、政府事故調は、地震で福島第一原発1〜3号機に「(放射能の)閉じ込め機能を損なうような損傷が生じた可能性は否定される」と、反論した。 原子炉の運転データからは、原発の重要機器が津波襲来まで正常に機能していたことが分かっている。地震ではなく、津波が事故の主因とした政府事故調の分析には説得力がある。 政府は、事故後、全国の原発で津波対策に取り組んできた。再稼働に向け、この対策が適切であることを国民に説明し、不安感の軽減につなげてもらいたい。 東電が津波発生後に適切に対応していれば、炉心溶融(メルトダウン)を防げた可能性がある、と示唆した点も重要だ。 事態が悪化する前に、現場が速やかに原子炉内の圧力を下げる措置を取っていれば、溶融前に炉心の冷却ができたと断じている。 東電の危機対応力の欠如に厳しい評価を下したと言える。 一方、他の事故調と同様、政府事故調が辛口の評価をしているのが、当時の政府の不手際だ。 ◆不備だった官邸の対応 首相官邸の対応について、「情報の不足と偏在が生じ、十分な情報がないままに意思決定せざるを得なかった」とした。 菅首相や閣僚が、各府省幹部らが集まる官邸地下の「危機管理センター」を十分に活用しなかったためだ。その結果、放射性物質拡散予測システム「SPEEDI」を住民の避難誘導に利用することは検討もされなかった。 民主党政権が、誤った「政治主導」で官僚組織を使いこなせず、事態を混乱させた責任は重い。 最終報告書によると、原子力に「土地鑑」があると自負していた菅氏は「組織的に事態収拾に当たろうとしなかった」という。事故直後の原発視察を始めとする現場介入も、「弊害の方が大きい」と批判した。 官邸が各府省や東電に対して、広報内容の事前連絡を求めたため、メルトダウンなど原発の状況に関する国民への情報提供も遅れた。 こうした問題を指摘したのは当然である。危機的状況での情報発信の改善が求められよう。 ◆今後も事故究明続けよ 事故を防げなかった理由について、最終報告書は「東電も国も安全神話にとらわれていた」ことが根源的な問題、と批判した。政府が財源難から「発生確率の低い事象を除外」したとも指摘した。 しかも、今回は、原発事故と自然災害が同時に起きる「複合災害」だった。発生確率が低くても甚大な被害が予想される危機への十分な備えは欠かせない。 新たに発足する政府の原子力規制委員会は、深刻な事故を想定した防災計画の策定や防災訓練の実施といった平時からの準備に重点を置く必要がある。 国際的にも、事故への関心は高い。長期にわたる廃炉作業や被災者の生活再建の状況を国内外に示さねばならない。 畑村委員長は、締めくくりの所感で「形を作っただけでは機能しない」「変化に柔軟に対応する」など、教訓を列挙した。 組織を改編するだけでなく、その構成員が、人間の考えには欠落があることを自覚し、「想定外」に備える重要性を訴えている。 原子力に携わる全関係者は、肝に銘じるべきである。 (2012年7月24日01時37分 読売新聞)
![]() 東京本社発行の最終版から掲載しています。
![]() ![]() ![]() |
![]() |
今週のPICK UPPR
![]() ![]() ![]()
![]() ![]() ![]() |
![]() |
▲この画面の上へ |
会社案内|
サイトポリシー|
個人情報|
著作権|
リンクポリシー|
お問い合わせ| YOMIURI ONLINE広告ガイド| 新聞広告ガイド| 気流・時事川柳(東京本社版)への投稿| 見出し、記事、写真の無断転載を禁じます Copyright © The Yomiuri Shimbun. |