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朝日新聞の天声人語をもっと読む大学入試問題に非常に多くつかわれる朝日新聞の天声人語。読んだり書きうつしたりすることで、国語や小論文に必要な論理性を身につけることが出来ます。
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看板に偽りあり、の仕打ちにやられた人は古今東西に数え切れまい。米国のある作家がこんな皮肉を言ったそうだ。「奇跡の薬とは、効能書きの通りに効く薬のこと」。うなずく向きもいるのではないか▼日本の政治も似たり寄ったりだ。民主党が麗々しく掲げた政権交代の「効能書き」は、軒並み崩れて見る影もない。公約通りに行われれば奇跡、という政治では、怪しげな薬と変わらない。そんな呆(あき)れた総崩れに加え、またぞろ新たな「看板に偽り」の芽が萌(も)えだしている▼消費増税は「財政再建」と「社会保障の充実」のため、と聞かされてきた。その二枚看板に「公共事業」が割り込みつつある。増税で3党合意をした自民党など、「10年で200兆円」だと喧伝(けんでん)し、大借金どこ吹く風で景気がいい▼公明党は少々控えめだが、それでも「10年で100兆円」を使えと言う。民主党の「コンクリートから人へ」はどこかに消えた。防災、減災の美名に隠れるような3党そろっての先祖返りに、増税の目的はゆらりと揺れている▼「庶民増税を打ち出の小槌(こづち)にした新たな無駄づかい」という共産党、市田忠義氏の指摘はもっともだ。少子高齢化と天文学的財政赤字に向き合い、持続可能な国をつくるという大看板を、ゆるがせにしては困る▼どこの諺(ことわざ)だったか「財布が重いと心は軽い」と言う。消費税を10%にすると歳入は13.5兆円増えるそうだ。国の財布が重くなって、心も軽く大盤振る舞い。そんな政治では、納税者は泣く。