HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 51554 Content-Type: text/html ETag: "21a0de-1787-4c5090f42443b" Expires: Wed, 18 Jul 2012 01:22:29 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 18 Jul 2012 01:22:29 GMT Connection: close 日航再上場 公正な競争ゆがめない再建を : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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日航再上場 公正な競争ゆがめない再建を(7月18日付・読売社説)

 日本航空が東京証券取引所に株式の上場を申請し、9月の再上場を目指している。

 実現すれば、2010年1月の会社更生法の適用申請から2年8か月で公的管理を脱するスピード再生となる。

 破綻後、日航株は上場廃止となり、官民ファンドの企業再生支援機構が3500億円を出資した。再上場で株式を市場に放出し、出資額を上回る資金が得られれば、公的資金は全額回収できる。

 経営を軌道に乗せ、国民負担を最小限に抑えるという観点からすれば、日航再生はひとまず順調に進んだと言ってよいだろう。

 最大の要因は、業績のV字回復だ。2年連続で営業利益は過去最高を更新し、利益率は世界の主要航空会社を大きく上回った。

 会長に就任した京セラ創業者の稲盛和夫氏のもと、日航自身が「親方日の丸」の企業風土を改革した努力は評価したい。

 ただし、好業績を実現できたのは、公的資金の投入や5200億円もの債務免除などの手厚い支援があったからこそである。

 1万6000人規模の人員削減や赤字路線廃止など大規模なリストラにしても、裁判所の管理下で初めて可能となった。

 問題は、身軽になった日航が全日本空輸に比べて圧倒的に優位となり、公正な競争をゆがめかねない状況が生まれている点だ。

 12年3月期の日航の営業利益は2049億円で、過去最高益だった全日空の970億円の2倍を超える。法人税が免除される優遇措置により税引き後利益は全日空の7倍近い水準となっている。

 経営の負担となる有利子負債は全日空の5分の1にとどまる一方、法人税免除は7年間続く。

 国の支援で再建した企業が、自助努力を続ける競争相手よりも優遇されれば、結果的に不公平を生むことになる。

 少なくとも日航は、公共交通機関として地方路線の維持やサービス向上などを通じ、利益を還元する対応を考える必要があろう。

 自民党の関係部会は、日航への公的支援を過剰と問題視し、新規路線の開設制限などを再上場の条件とするよう求めている。理解できる面はあるものの、政治が過剰に介入してはならないだろう。

 公的支援による企業再生と公正な競争環境の両立については、政策面の不備が目立つ。欧州連合(EU)は、公的支援を受けた企業の事業を制限する措置などを取っている。こうした事例も参考に政府は検討を急ぐべきである。

2012年7月18日01時29分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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