HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 17 Jul 2012 23:21:14 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:「北」軍高官解任 先軍政治は変わるか:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

「北」軍高官解任 先軍政治は変わるか

 北朝鮮の金正恩第一書記の「後見人」といわれた軍高官が突然、解任された。体制を揺るがす権力闘争の始まりか。軍部の勢力拡大を抑えて、改革路線に踏み出そうとするのか。注視したい。

 北朝鮮メディアは十六日、李英鎬・朝鮮人民軍総参謀長を「労働党のすべての職務から解任する」と報じた。「病気のため」というが、八日には国家行事に出席しており、失脚した可能性が高い。

 軍部隊の頂点に立ち、党政治局常務委員を務め序列五位の実力者だった。やはり権力中枢にいて、行政や経済を重視する党テクノクラート出身の張成沢・党政治局員や崔竜海・軍総政治局長らの勢力が、追い落としを図ったのではないかとの観測が出ている。

 金正恩体制が公式にスタートしてわずか三カ月。こんな「異変」が起きたのは、北朝鮮の最高指導機関である労働党が肥大化した軍部を再び統制しようとする試みという見方が有力だ。

 党と軍は資金の争奪戦をしているが、経済が破綻し食糧不足で餓死者まで出ている。張氏ら党高官は軍事費を削って農業、工業生産に回すよう指導部を説得した。軍の最強硬派、李総参謀長は四月の長距離弾道ミサイル発射失敗の責任を問われ、さらに軍事費削減を拒否したため解任された−。韓国の専門家らはこう分析する。

 北朝鮮は軍を統治の柱とし、カネも資材も優先する「先軍政治」を掲げている。だが十二日付の党機関紙「労働新聞」の社説は「党は軍事優先を掲げる一方で、民生分野で多くの政策を打ち出した」と強調した。民生改善にも取り組まないと国民の不満は抑えきれないという危機感が読み取れる。

 先軍政治は今後も中核にすえるが、微調整を加えるのではないか。近く、新たな経済政策を発表するとの観測が広がっている。

 金正恩第一書記の動向にも目に見える変化がある。最近、夫人ではないかとみられる若い女性を現地視察に同行させ、国内外に報道された。父金正日総書記の時代にはなかったことだ。視察先は学校や文化施設、少年団の大会などが目立つ。「親しまれる開放的な指導者」を演出し、同時に「世代交代を進める」と示唆しているようだ。

 権力闘争の過程で軍強硬派や旧世代の巻き返しがあり得るが、北朝鮮が体制生き残りをかけて改革に乗り出し、米国や中国との外交を進める兆候だととらえたい。

 

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