HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 37680 Content-Type: text/html ETag: "16c5ef0-2009-38197000" Cache-Control: max-age=2 Expires: Tue, 17 Jul 2012 03:21:14 GMT Date: Tue, 17 Jul 2012 03:21:12 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:天声人語
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天声人語

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2012年7月17日(火)付

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 67年前のきのう7月16日、米国ニューメキシコ州では太陽が2度昇った、と言われる。この日の夜明け前、アラモゴードの荒野で大音響とともに巨大な火の玉が炸裂(さくれつ)した。人類初の原爆実験である▼長崎で被爆した作家の林京子さんは1999年にこの爆心地を訪ねた。後に感慨を本紙に語っている。「熱く、草のはぜる音さえ聞こえない静かな荒野でした。それまで私たちが核の最初の被害者だと思っていましたが、大地は傷ついたまま、黙って耐えていた」。重い言葉が福島を連想させる▼原発事故で傷ついた故郷の地を離れて、今も万の人が戻れない。その苦境を置き去りにするように、政府は再稼働へ舵(かじ)を切った。抗議を込めて、きのう7月16日、東京であった「さようなら原発」の集会は大勢の参加者が広い代々木公園を埋めた▼炎暑にめげずご高齢の姿が目立ったのは、孫たちの未来を案じてだろうか。「故郷を壊すな!」「子どもを守ろう」。プラカードや幟旗(のぼりばた)が、人々が全国から集まったことを教えている▼呼びかけた一人、音楽家の坂本龍一さんが、壇上から「福島のあと沈黙していることは野蛮だ」と語ると大きな拍手が湧いた。質、量ともに巨大な、脱原発への「志」の結集となった▼「実際に生きている人間の直感の方が、科学的知を超えて物事の本質に迫る瞬間がある」という反原発の科学者、故高木仁三郎さんの言葉を思い出す。権威は必ずしも賢ならず。生活者の肌感覚を蔑(さげす)まない政治が、今こそほしい。


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